...その腸(わた)を二升瓶に貯える...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...子を作り、財を貯え、安逸なる一町民となるも、また人生の理想であると見られぬことはない...
伊藤左千夫 「浜菊」
...彼が各地に旅行して自然科学上の豊富なる知識を貯えたる人なることは...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...いつも余分のものをなるべく多く貯えなければならなくなる...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...一日(いちじつ)に一銭たりとも多く貯えて又一が手許に送り...
関寛 「関牧塲創業記事」
...日々若干金を貯えて...
関寛 「関牧塲創業記事」
...欧州へ引き揚げるのには今少し働いて金を貯えた後に戻りたいという心持であったから...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...これだけのものを沸騰させ煮つめるだけの「燃料」を自分は貯えてあるだろうか...
寺田寅彦 「厄年と etc.」
...その貯えを大切に...
中里介山 「大菩薩峠」
...素(もと)より懐中には一文の貯えもありません...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...貯えの小金を融通し...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...千五百石は貯えねばなるまい...
本庄陸男 「石狩川」
...立流な口鬚(ひげ)を貯えていた――が...
牧逸馬 「浴槽の花嫁」
...大根の葉の塩漬にして貯えられたもののことである...
柳田國男 「食料名彙」
...そのほか牢を出たが職も身寄りもない者などを集め、これらに手職を与え、賃銀を貯えさせ、機会があれば市中へ出て、一般市民と同じ生活のできるような人間にする、というのが人足寄場のたてまえなのである、と与平は語った...
山本周五郎 「さぶ」
...持っていた僅かな貯えさえ底をついてしまった...
山本周五郎 「さぶ」
...「できればそうしたいのだ」靱負は懇(ねんご)ろに訓(さと)した、「然し松山へまいってもいつ仕官が協うか見当もつかぬ、貯えも乏しく、浪人の身の上では、おまえの給金さえ遣り兼ねる時が来るだろう、ましておまえはもう二十という年になっている、家へ帰って嫁にゆくことも考えなくてはいけない、この場合それが女としては正しい道なのだから」こういう意味を繰返し云って聞かせた、するとおかやは、「ではせめて坊さまが立ち歩きをなさるようになるまで……」と云いだし、どうしても聞分けようとしないのである、それでどうにも法が尽きて兄の多助を呼んだのであった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...妻のトメも娘のアイ子も相当の貯えを持っている筈ですから...
夢野久作 「少女地獄」
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