...しかしその貧しさ惨めさに対して高ぶつてゐるものゝ一人もゐないと云ふ事は皆んなの態度で龍子にはハツキリ感じられた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...人はその貧しさによって活動範囲を局限されれば――たとえば書物や新聞が買えないというように――それは最も意義ふかい重要な経験にかぎられることにすぎない...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...その貧しさを軽蔑したのではありません...
太宰治 「人間失格」
...それは小さな宅(うち)ではあつたが――その一室とその向うにもう一つ室があるだけで、仔細に見れば、その貧しさが、また其惨めさがそれと察せらるゝほどであつたが、否これと見ただけでも、そのアンナがハルピンの普通の踊妓(をどりこ)のやうな生活をしてゐないといふことが、さつき想像したやうにきまつた保護者すらこの人にはないといふことが、それとはつきり時子にも呑み込めて来たのであつたが、アンナに取つても、B達がかうして揃つて訪問して来て呉れたことに対しては非常に感謝したらしく、頻(しきり)にチヤホヤとかれ等を待した...
田山録弥 「アンナ、パブロオナ」
...わしは老人の貧しさを...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...妙に虚勢を張った所の目立つ・貧しさばかりである...
中島敦 「環礁」
...天才の奇蹟シューベルトの貧しさと...
野村胡堂 「楽聖物語」
...如何にも貧しさうですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...貧しさのせゐでいたし方はなくとも...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...年齢や環境に聊(いさ)さかの貧しさもあってはならないのだ...
林芙美子 「晩菊」
...体験の貧しさと思索の弱さとは真の仕事の基礎となってそれを成就させるものでないことはいうまでもないが...
三木清 「語られざる哲学」
...体験の貧しさと思索の弱さとをしみじみと感ずることは私たちを決して不安と焦躁とに駆りはしないで...
三木清 「語られざる哲学」
...しかもかれにとっては猶(なお)充分な飲酒をも貪(むさぼ)ることのできない貧しさのために...
室生犀星 「幻影の都市」
...その貧しさは不自然なものではないのです...
柳宗悦 「民藝とは何か」
...貧しさや働きに堪えないものは...
柳宗悦 「民藝四十年」
...末吉夫妻の知恵は貧しさから生れたものではない...
山本周五郎 「青べか物語」
...まだまだそれが眞の逆境とはいへない程度の淺い貧しさだからである...
吉川英治 「折々の記」
...そのころは後醍醐方の圧迫から持明院派はみな日蔭者の貧しさと...
吉川英治 「私本太平記」
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