...昨年七八月頃までは増税せず募債せずと宣言し居りしを今になつて増税案を提出したるは不信義なりとの決議案の骨子に對し今や内外の經濟共通となれる時代に際しては世界經濟市場の景況を基本として財政の計畫も亦之に準ぜざるべからざるを以て到底一二年の未來をも豫想する能はず畢竟増税を非とするは道理なきものなりと撃卓勵聲して降壇したる態度は意氣甚だ軒昂...
石川啄木 「雲間寸觀」
...しかしてナバールの大公はこの誘惑にうち負けたり、彼は仏国のため士卒のために一歩を譲り、天主教徒の請求を容れ、ヒューゲノー党を脱し、羅馬(ろま)法王に対し罪の懺悔を呈し、ついに仏王として承認せらるるに至れり、彼の譲退は彼の胸算(きょうさん)に違わざる結果を生じ、彼の王位は強固となり、国内平穏に帰し民みな堵(と)に就(つ)けり、彼は忠実なるヒューゲノー党を忘れず、ナントの布令(Edict of Nantes)に依(より)て信仰自由を天下に令し新教徒をして政治上ほとんど旧教徒と異なる処なからしめたり、彼の治世は仏国の中興として見るべきものなり、殖産事業の進歩、財政の整頓、外国に対する仏国の輝栄、ともにヘンリー王の事跡として文明諸国の賞讃する処となれり、しかれども彼の仏国のために尽せしはただ一時の治安策なりき、彼死するやリシュリヤ、マザリンの下(もと)に仏国は光威を欧洲に輝かせしもこれみな外貌の虚飾にして内に留(とど)むべからざる腐敗の醸(かも)しつつありしなり、ルイ十四世に至てこの虚勢その極に達し、ルイ十五世は黄金珠玉に包まれながら不快淫風に沈みつつ世を終れり、ルイ十六世に至り仏国革命起り次(つい)でナポレオンの世となりその惨怛たる光景は人のみな知る所なり、ヘンリーは一時を救わんとして毒を千載に流せり、ああもし彼にして基督のごとく悪魔の巧言を退(しりぞ)けしならば仏国二百年間の争闘流血を避けしものを、ヘンリーは仏国を愛してこれを愛せざりしなり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...この古い建物が彼の唯一の財産だった...
海野十三 「疑問の金塊」
...おばあちゃんの財布を持ってくれて落さなかったんだものねえ...
太宰治 「冬の花火」
...財産の所有関係を伴って来る...
戸坂潤 「科学論」
...昭和九年は会財政部にとって全く失敗の一年であったといえる...
戸坂潤 「〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)」
...お嬢様の分として分けてある財産だけでも少々のものではございませんのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...卯平(うへい)は短(みじか)い時間(じかん)であつたが氣(き)がついてから心掛(こゝろが)けたので財布(さいふ)には幾(いく)らかの蓄(たくは)へもあつた...
長塚節 「土」
...仁三郎の財布を狙ったものと見たわけです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何らかの財産や能力といったものとは両立し得ないことのように思われた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...ある財貨が稀少であり...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...娘たちを財産家にしたいとか...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...ロスコーさんの御夫婦には相当の財産が在ったには違い御座んせぬが...
夢野久作 「S岬西洋婦人絞殺事件」
...主(ぬし)なき王家の財宝と幸福が待っています」一句一句...
吉川英治 「江戸三国志」
...あの蓄財家(ちくざいか)の九郎兵衛が...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...御所の一財務官に過ぎない勤めと...
吉川英治 「源頼朝」
...スリか何かに盗られた大きな信玄袋――合財(がっさい)袋ともいった――その中には...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...〇〇〇磅(ポンド)の財産を有つに過ぎず...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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