...豊満なる乙女(おとめ)の肉体を見出した時...
江戸川乱歩 「火星の運河」
...豊満な水着姿が、つと立ち上がったと見る間もなく、たちまち中心を失って、ドボンと水煙立てて!ハッとして中をのぞきこんで見たら、慣れてるとみえて水に押し流されながら、また板に取り付いて這(は)い上がりながら私の方を振り返って笑って、そのまま姿は曲っていってしまう...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...完全に裸体で豊満な肉体をもった黒髪の女が腕を組んだまま腰を振り振り舞台の上手から下手へ一直線に脇目もふらず通り抜けるというものすごい一景もあった...
寺田寅彦 「マーカス・ショーとレビュー式教育」
...一個だけの豊満な隆起は奇怪ではないか...
外村繁 「日を愛しむ」
...そんなに豊満な太陽が権威を振つてゐたのだ...
ボードレール 富永太郎訳 「射的場と墓地」
...一際(きは)目に立つ豊満な肉付と...
永井壮吉 「人妻」
...西洋婦人の豊満な肉体美をながめているうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...相手は墨染の法衣を着て、豊満な肉体と、醜い顔とを持った見る蔭もない比丘尼(びくに)ですが、いた香は実に素晴らしいもの、白磁の香爐から立ち上る香煙を聞いて、丈太郎は思わず眼を見張りました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...三十女の豊満な肉体を...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二十四五の豊満な肉体と...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「来いッ」その豊満な腕を取って平次はグイと引くと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...僕はその弁解でもいいから聴き度い」勇は秀子の豊満な腕を扼(つか)んで...
野村胡堂 「流行作家の死」
...春信(はるのぶ)、春章(しゅんしょう)、歌麿(うたまろ)、国貞(くにさだ)と、豊満な肉体、丸顔から、すらりとした姿、脚と腕の肉附きから腰の丸味――富士額(ふじびたい)――触覚からいえば柔らかい慈味(じみ)のしたたる味から、幕末へ来ては歯あたりのある苦みを含んだものになっている...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...そして豊満な白い乳房のあたりから...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...そして「夕映えを染めた如き」などゝ得意になつてお世辞を云つた飴色の豊満な巻髪をたくわへた十八の娘が...
牧野信一 「熱海線私語」
...豊満な光線がサンサンと降るような音が聴えるだけだ...
蘭郁二郎 「※[#「氓のへん/(虫+虫)」、第3水準1-91-58]の囁き」
...緊張した力強さは豊満な調和に変わる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...豊満な落ちつきと欠くるところのない調和とが見られる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索