...諧謔(かいぎやく)的精神は少からず持ち合せてゐる...
芥川龍之介 「僕の友だち二三人」
...雄鹿の群声を挙げて啼けば雄犬は声を挙げて吠えるよ北風が急に炉端へ吹いて来て灰が雲のやうに空へ舞ひ上る葦原が光る美しく光る後の丘へ神様が天降つた後の丘で美しい風の音が聞える大きな鯨がより上つたまあうれしい神様が神駕に乗つてお出になつたわしは大層大きな鯨だから庭の上から冷い空気や風に吹き上げられる(この諧謔はもはや婦人のものではない...
知里真志保 「アイヌ族の俚謡」
...このように諧謔作家としてのディッケンズを示す文章や箇処が綿密な読者には処々に認められるであろう...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...代理人を立てて……誓った時に 「洗礼式の時に」という意味を諧謔的に言ったのである...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...この第二の場合が諧謔と呼ばれるもので...
戸坂潤 「思想としての文学」
...ナポレオンはワーテルローの朝食の間にしばしばその諧謔(かいぎゃく)を弄した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...ギリシャの赤裸とヘブライの潰瘍(かいよう)とガスコーニュの悪謔(あくぎゃく)とを結合している...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...江戸の都人は最も惨澹(さんたん)たる天変地妖(てんぺんちよう)に対してもまた滑稽諧謔の辞を弄(ろう)せずんば已(や)む能(あた)はざりしなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...正風といへども決して滑稽諧謔を排斥したるに非(あら)ざるを知るに足る...
永井荷風 「江戸芸術論」
...謙遜と諧謔と憧憬とをプレトン派に学び...
牧野信一 「熱い風」
...更に世紀文明の太初に遡つては夙に大ソクラテス並びに大プレトーンが全生命を傾注したる諧謔法を選んで永遠に若々しく呼号してゐる通りである...
牧野信一 「文学的自叙伝」
...してみるとこりゃたしかに義理があるのでしてと諧謔(かいぎゃく)たっぷりにトドメをさされた...
正岡容 「わが寄席青春録」
...芭蕉は龍を鯰に見立てて諧謔化したわけである...
武者金吉 「地震なまず」
...それでも彼の行動には一抹の諧謔がまつわつていて...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...友だち同士の諧謔(かいぎゃく)を云ったり笑い交(か)わしたりしていた...
吉川英治 「源頼朝」
...諧謔で相手の言い草をひっくり返すというような機鋒はなかなか鋭かったが...
和辻哲郎 「漱石の人物」
...もともと先生の気質には諧謔的な傾向が(江戸ッ児らしく)存在していたかもしれない...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
...しかし先生は諧謔をもってすべてを片づけようとする人ではなかった...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
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