...それは又実際文化竈(ぶんかかまど)や華奢(きゃしゃ)な皿小鉢と調和しない悪臭を放っているのに違いなかった...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...鍬の土に喰い込む音だけが景色に少しも調和しない鈍い音を立てた...
有島武郎 「カインの末裔」
...人間というものはさまざまの互いに調和しない独立の住民からなる単なる一団体として結局は知られるようになるだろう...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...北緯三十五度若干(じゃっかん)の東京の太陽の光とうまく調和しないように感じられて...
高村光太郎 「木彫ウソを作った時」
...……京都の町の全體としても、大阪の方から來る物質的壓迫と東京の――わけてもジヤアナリズムから來る思想的文化が渦をまいて、調和しないで、消化されないでゐるやうです...
竹久夢二 「砂がき」
...何にしてもこの物臭い風つきは小ざっぱりした部屋の空気に調和しないばかりでなく...
谷崎潤一郎 「蘿洞先生」
...この景色とこの親方とはとうてい調和しない...
夏目漱石 「草枕」
...恋とこの道也とはとうてい調和しない...
夏目漱石 「野分」
...御前のような夷狄(いてき)は東京にゃ調和しないから早く帰れったら...
夏目漱石 「門」
...この鼻とこの顔は到底調和しない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...妙に周圍と調和しないエトランゼのやうな風貌がある...
萩原朔太郎 「詩に告別した室生犀星君へ」
...詩人が調和しないことに存するのだから...
萩原朔太郎 「詩に告別した室生犀星君へ」
...堅気(かたぎ)の娘たちとは調和しない奔放(ほんぽう)さがあった...
長谷川時雨 「明治座今昔」
...何一つ調和しない敗者の生活が...
林芙美子 「瀑布」
...まるで心臓の鼓動が調和しない男が...
水野葉舟 「北国の人」
...その婦人が勝れて美しいといふ方では無かつたけれど四圍と調和しない程粹(いき)なからだつきで...
水上瀧太郎 「山を想ふ」
...やがて場面とおよそ調和しない閑静な響を唯一つ打った...
夢野久作 「暗黒公使」
...扮装共に現実と同じものでは調和しないのが当然である...
夢野久作 「能とは何か」
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