...延暦寺に牒して之を誘ひ...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...婦(おんな)に誘はれて...
泉鏡花 「印度更紗」
...しかしその臭ひが宿なしたちには誘惑である食べ物を一銭二銭で売つてゐるのである...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...女の体に塗った香料の匂いが脳に浸みて杜陽の心を快惚(かいこつ)の境へ誘った...
田中貢太郎 「陳宝祠」
...山田は自ら秀子を方々に誘い出した...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...これは隊長を殺した上に我々を誘(おび)き出そうとする手段か...
中里介山 「大菩薩峠」
...それには一人の若いイギリスの紳士の勧誘も手伝っていた...
野上豊一郎 「吹雪のユンクフラウ」
...後は何にも知らないと言うんで」「誘拐(かどわかし)かな」「五人の子供を一ぺんに誘拐(かどわか)す工夫はありませんよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ホテルのグリルへ徳山を誘ひ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...同時に一つの問ひを自分に出してみよう――何れがよいか?――誘惑に負け...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...彼女たちはドライヴに彼を誘つた...
堀辰雄 「ルウベンスの僞畫」
...恰で形のない綺麗な妙にうら寂しい夢に誘はれたりしてゐると...
牧野信一 「南風譜」
...利己的な工夫や感傷的な戲れやこざかしい技巧がいよいよ多くの誘惑と強要をもつて彼を妨げるのを痛感しなければならない...
三木清 「人生論ノート」
...戦争に誘いそれを暗示する思想と言論のカナライゼーションに抗してわれわれ自身を恥辱から救おうとする決意と行動は...
宮本百合子 「五月のことば」
...裸体に非常な誘惑力を認めている...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...お父様が今夜は違った虫が捕りたいから誘蛾燈に赤いシェードを掛けとけって仰言(おっしゃ)ったでしょう...
夢野久作 「髪切虫」
...一面に今かれが口からもらした仮面(めん)のことに誘惑されて...
吉川英治 「江戸三国志」
...その兄の隙を見て、直義が、ふと誘った...
吉川英治 「私本太平記」
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