...またその親しさが現はせないまでも親方の軽口を皆んなで声をたてゝ笑ふ事の出来る程安易な心持になつてゐるらしかつた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...一種緊張したなかに親しさの籠った一座の空気がじかに触れてきた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...いかにも親しさうな眼つきでのぞき込んだのが不思議であつた...
武田麟太郎 「一の酉」
...ぐつと身体を近づけたやうな親しさを...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...窕子は一層その僧に親しさを感ぜすにはゐられなかつた...
田山花袋 「道綱の母」
...初めて逢うた此若い人々も同窓の故に大變親しさを感じ經驗談を一時間ばかりする...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...氣の置けない親しさと言つてもよいでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何となく長い間の昵懇な間柄でもあるやうな親しさが湧いてきた...
林芙美子 「雨」
...こちらから溶け込んでゆくような親しさをおぼえる...
松濤明 「春の遠山入り」
...先方は一段と親しさをましたか...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...もしも‘Normal’という言葉に親しさがないなら...
柳宗悦 「民藝の性質」
...もっと親しさや情愛が濃いはずであらねばならぬ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...それから後はさらに親しさを増したというようすで...
山本周五郎 「落ち梅記」
...矢代はこのときから久慈や真紀子とも親しさが増して来たのである...
横光利一 「旅愁」
...久慈と千鶴子との船中での親しさを裂く役目に効果のあった人物だった...
横光利一 「旅愁」
...何だか僕の好きな大阪の家庭で食事をする様な親しさを感じて少し心が落着いた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...やはり自然の親しさで無くて人間の恋しさであつた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...見てゐて次第にこの山に對する親しさを増してゆくのだ...
若山牧水 「樹木とその葉」
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