...私は孤月と云ふ名をきくとその玄関の格子を一尺ばかり開けて無作法にその柱と格子に曲げた両腕を突つかつて其処に体の重味をもたして気味の悪い眼付きで私を見てゐる人をぢつと見返しながら急に反感がこみ上げて来ました...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)」
...仮令あれが真犯人でないとしても、先ず僕たちは、犯人が男性か女性かという点を、先に考えて見なければならないのじゃありませんか」それを云うと、園田氏と槌野君とは、何とも云えぬ妙な顔をして、僕を見返した...
江戸川乱歩 「悪霊」
...」長谷川は彼女の眼を見返した...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...」周平は黙って村田の顔を見返した...
豊島与志雄 「反抗」
...一体どんなこと?」見返した彼女の眼は...
豊島与志雄 「反抗」
...彼女は彼の眼を見返した...
豊島与志雄 「二つの途」
...七兵衛の面を見返しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼を見返した女の熱情的な凝視(リメイは大変長い睫(まつげ)と大きな黒い目とをもっていた)によって更に裏付けられた...
中島敦 「南島譚」
...ノートが床へ辷りおちて見返しがあいた...
久生十蘭 「だいこん」
...切羽つまった眼つきをして真名古の面を見返していたが...
久生十蘭 「魔都」
...と、お初は、ここで、限りなく嘲(あざけ)って、口ではしおらしく、「ほんとうに、あとでは思い当りましたけれど――」そして、打って返すように、見返して、「でもあの節、あなたさまも、あの者と前からお知り合のようにも見うけましたが――」平馬の眉根は、憎みで、毛虫がうごめくように寄せ合わされた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...おだやかに見返しながら貴島が言つた...
三好十郎 「肌の匂い」
...ミツはなみだの溢れる眼で、勘三を見返した...
室生犀星 「神のない子」
...末弟の映丘には見返しに私たちの辻川の生家を描かせた...
柳田国男 「故郷七十年」
...――おれが講釈しているというのか」五郎太は驚いて主計を見返した...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...おくみの眼を見返してから...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...(これ見よ)と見返したような晴(はれ)がましさであり誇りであった...
吉川英治 「親鸞」
...定綱はじっと見返して...
吉川英治 「源頼朝」
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