...今こうやって書いている私の耳を風と波が一緒になった凄じい怒号が襲う...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...時としては朝早くから私の寝込(ねこみ)を襲うて午飯(ひるめし)も晩飯も下宿屋の不味(まず)いものを喰って夜る十一時十二時近くまで話し込んだ事もあった...
内田魯庵 「斎藤緑雨」
...ヨブはこの心理状態にありし故に災禍来(きた)るや忽(たちま)ち懐疑の襲う所となり...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...比野町はその夏で一番物凄い大雷雨の襲うところとなった...
海野十三 「雷」
...それを知れば蠅男はその夜のうちに彼の秘密を知って居ると云う糸子の寝所を襲うだろうとは予期出来ることだった...
海野十三 「蠅男」
...異国より日本を襲う事これあるべき趣...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...恩師のことばに添うことになるのだ……』彼の計画は兄のドミトリイの不意を襲うところにある――すなわち...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...――こう云う心持ちはこの頃屡々俺を襲うて来るようだ...
豊島与志雄 「過渡人」
...その後を襲うべき幸運を有していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...恐るべき事変のまぎわに強い心の者を襲う一種の焦燥を感じていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この秋の初め我が国を襲う颱風は大抵太平洋上にそれるので...
中谷宇吉郎 「雑記」
...高波が筏を襲うたびに...
久生十蘭 「ノア」
...「なぜ斬らん、真実この阿賀妻をお家の害毒と思うなら、斬奸状(ざんかんじょう)をたかく掲げて斬るがよかろう、襲うがよかろう、腰ぬけめが、おぬしらの帯刀では人の骨を斬ることは出来るまい、少しは口惜しがったがよかろう、地団駄もふむがよかろう、胸に手をあてて考えるがよかろう、太平に馴れ、俸禄にあまやかされ、その方(ほう)ら軍務についていたものどもは張子の虎になりおった、時の勢いとして深くは咎(とが)めぬなれど、敗軍は敗軍じゃ、烏合(うごう)の官兵によくもみごとに追い立てられたな、白河口のたたかいでは――ときには身のいましめとして憶(おも)いだすがよかろう、その方らのいただくお武頭の萱野弥五郎は、こともあろうに擒(とりこ)になりおった、続く面々は総退却、右往左往、大将たおれて、代って勢をもり立てる勇も智も持ちあわせてはおらんのか、つづいての尿前(しとまえ)ではまたしても総敗陣――鎮守府将軍八幡社に顔向けが出来ようか、われらの城地にこの神を勧請(かんじょう)された政宗公に何とお詫(わ)びをいたされる、ばかめ、ばかめ、よくもおめおめ戻って来おったな、武士の道というものは――お家の安泰というものは――」――それは戦いに勝つことであった、と、そう云いたかったのだ...
本庄陸男 「石狩川」
...隣国進み襲うを闘わずば存命すべからずと申し侍(はべ)りければ...
南方熊楠 「十二支考」
...……また或るときはおのれの声望が藩中に圧倒的となった結果「亀阜荘さまは弟を排して讃岐守を襲うおこころがある」と頼胤の側近から風評がおこった...
山本周五郎 「新潮記」
...どっと波の襲うような音波が一瞬公園の緑の色を無くした...
横光利一 「旅愁」
...私は産の気(け)が附いて劇(はげ)しい陣痛の襲うて来る度に...
与謝野晶子 「産屋物語」
...俺たちが襲うまえに...
吉川英治 「三国志」
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