...「我身を共に襠の引纏ひ寄せとんと寢て抱付締寄せ」泣いてゐる美しい夕霧の後には...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...赤い裲襠(しかけ)を着た姐様(ねえさん)もあれば...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...三娘の襠をもらいたいと言ったが...
田中貢太郎 「水莽草」
...なんでも叔母がその琴唄のすんだあとで楽屋へ会いにいきましたらまだ裲襠を着たままできょうのおさらいは琴はどうでもよいのだけれどもいっぺんどうしてもこういう姿がしてみたかったのだといってなかなか裲襠をぬぎたがらないでこれから写真をうつすのだなどといっていたそうにござります...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...彼の眼の前二三尺の所に堆(うずだか)い襞(ひだ)を盛り上げて重々しくひろがっていた裲襠(うちかけ)の裾(すそ)が...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...店構改築せられ縫模様の裲襠硝子戸の内に陳列せられしさま博物館の如し...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...この裲襠を纏(まと)うていた当の人の姿は見えないから...
中里介山 「大菩薩峠」
...この裲襠を見ねえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...ほどなくその裲襠と守り刀の袋とは...
中里介山 「大菩薩峠」
...欄干にひっかかっている裲襠(うちかけ)を蹴飛ばしたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...それのみか私はこの美くしい裲襠がその後(ご)小掻巻(こがいまき)に仕立直されて...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...頭から裲襠を被せて...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...赤ゑり赭熊(しやぐま)に裲襠(うちかけ)の裾(すそ)ながく...
樋口一葉 「たけくらべ」
...大模様の裲襠(うちかけ)を絆纏(はんてん)のように着崩す飛んだ御中(ちゅうろう)ぶりで...
久生十蘭 「鈴木主水」
...裲襠(しかけ)を引き摺ッたまま走り寄り...
広津柳浪 「今戸心中」
...蝋灯の灯かげに金糸銀糸の裲襠(りょうとう)絢(きらめ)き...
正岡容 「わが寄席青春録」
...五葉の松の刺繍を浮き出させた裲襠(うちかけ)...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...登子の裲襠(うちかけ)が掛けてある...
吉川英治 「私本太平記」
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