...「我身を共に襠の引纏ひ寄せとんと寢て抱付締寄せ」泣いてゐる美しい夕霧の後には...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...赤い裲襠(しかけ)を着た姐様(ねえさん)もあれば...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...寺にはまた高尾の襠裲の殘片と稱するものをも藏す...
大町桂月 「鹽原新七不思議」
...裲襠(うちかけ)を着せて...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...そのうえおもいもかけず裲襠すがたのお遊さんを見たのでござりますからかねがねゆめにあこがれていたまぼろしが事実になったのでござりましてさだめし父は自分の眼をうたがったほどにおどろきもしよろこびもしたでござりましょう...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...物をもいわず裲襠を剥取(はぎと)ってずたずたに引裂き鼈甲の櫛笄や珊瑚(さんご)の簪(かんざし)をば惜気(おしげ)もなく粉微塵(こなみじん)に踏砕(ふみくだ)いた後(のち)...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...裲襠の肩が外れて...
中里介山 「大菩薩峠」
...元禄模様の派手な裲襠(うちかけ)を長く畳に引いて...
中里介山 「大菩薩峠」
...刺繍の裲襠とが目を射る...
長塚節 「菜の花」
...これは恐らく当時の裲襠(かいどり)とかいうものなのだろう...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...赤い襠(しかけ)とは縁がないな」「その代り殺されたのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大模様の裲襠(うちかけ)を絆纏(はんてん)のように着崩す飛んだ御中(ちゅうろう)ぶりで...
久生十蘭 「鈴木主水」
...お人手の少ないお家ですからなにかお手助けを致したいと存じます」そう云いながら自分の手で裲襠(うちかけ)をぬいでしずかに立った...
山本周五郎 「日本婦道記」
...瞬く間に裲襠を剥ぎ取られて高手小手に縄をかけられつ...
夢野久作 「白くれない」
...五葉の松の刺繍を浮き出させた裲襠(うちかけ)...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...衣裳なんぞには用はないという風に、極めて無造作に、裲襠と、帯と、振袖の三枚襲(がさね)を掴みのけて、棺の傍(かたわら)に押し込みますと、その下から現われましたのは素絹(しらきぬ)に蔽われました顔、合掌した手首を白木綿で縛られている清らかな二の腕、紅友禅(べにゆうぜん)の長襦袢(ながじゅばん)、緋鹿子絞(ひかのこしぼ)りの扱帯(しごき)、燃え立つような緋縮緬(ひぢりめん)の湯もじ、白足袋(たび)を穿かされた白い足首……そのようなものがこうした屍体解剖室の冷酷、残忍の表現そのものともいうべき器械、器具類の物々しい排列と相対照して、一種形容の出来ないムゴタラシサと、なまめかしさとを引きはえつつ、黒装束の腕に抱えられて、煌々(こうこう)たる電燈の下に引き出されて参ります...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...白縮緬筒袖胴着、小柳萬襠高袴、琉球立縞帶、黄八丈脚半、紺足袋、白羽二重下帶、白縮緬鉢卷、太刀拵熊毛尻鞘かけ、短刀...
横瀬夜雨 「天狗塚」
...武蔵のからだにかけてある女の裲襠(うちかけ)が気に喰わないのである...
吉川英治 「宮本武蔵」
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