...やがて明け放した遣り戸を閉しながら少しは上気の褪(さ)めたらしい娘の方を見返つて...
芥川龍之介 「地獄変」
...あの安つぽい褪め易い青色まで...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...花聟の衣裳は磨り切れて艶々しい色も褪(あ)せ...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...色の褪めた大シヨオルを頭からかぶつて素足に藁草履で歩いてゐるのです...
江南文三 「佐渡が島のこと」
...正当な一時押収ですの?」税関吏は青褪(ざ)め切って完全に恐れ入ってしまったが...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...色褪(あ)せてき...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...色褪(あ)せてしまったことはかつてないじゃないか...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...髪の毛の真黒な艶が褪せていた...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...気まぐれに彼女の色褪せた姿を捉えてきたのであろう...
豊島与志雄 「理想の女」
...日に焼けて生涯(しょうがい)褪(さ)めっこない強い色を有(も)っていた...
夏目漱石 「門」
...色の褪(さ)めた歴史の上に...
夏目漱石 「門」
...あの夜の幻影が幾分色褪せたこともあり...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...けれども同じやうに光薄(ひかりうす)れ色褪(いろあ)せて行つた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...夕の空に褪赭(たいしゃ)色ににじんでいた...
別所梅之助 「雪の武石峠」
...それがほとんど一様に褪(さ)めかかっている...
堀辰雄 「旅の絵」
...)さうして襤褸をまとつたやうな光線が地上を掘りかへし、搖すぶり、樹々の背後に、まるで眠れない夜のやうな、褪めた緑色に、其處此處に草原を浮かびあがらせてゐます...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「トレドの風景」
...蒼褪(あおざ)めた顔は小さく寂しげにやつれきっていたのである...
室生犀星 「蛾」
...蠱惑(こわく)ともいえる艶(えん)な美はどこにも褪(あ)せていなかった...
吉川英治 「私本太平記」
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