...昨今の私にはすべて色褪せたものに見えるのである...
モオパッサン 秋田滋訳 「ある自殺者の手記」
...その色彩は褪せ、その内容は貧弱となる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...色(いろ)の褪(さ)めた徽章(きしょう)の附(つ)いてる軍服(ぐんぷく)を始終(ふだん)着(き)ているニキタと云(い)う小使(こづかい)...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...光沢(つや)も褪せないで鮮やかに匂っている美濃紙の表紙を開くと...
谷崎潤一郎 「少年」
...盛り上り揺(ゆ)り下ぐる岩蔭の波の下(した)に咲く海アネモネの褪紅(たいこう)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...その色褪(あ)せた細い首を...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...目に入(い)るものは尽(ことごと)く褪(あ)せた寒い色をしているので...
永井荷風 「すみだ川」
...大振袖の紫の褪(あ)せて居るのも淺ましい限りですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「無慙(むざん)にも色の褪せた陳(ふる)いのと...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...丹(に)の褪(さ)めかかった古い円柱にも...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...艷やかな羽毛の紅色は褪せず...
宮本百合子 「餌」
...己の恋が褪めるだらうと云ふことであつた...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...器に力は失せ美は褪せる...
柳宗悦 「雑器の美」
...褪紅色(たいこうしょく)のうす絹です...
吉川英治 「江戸三国志」
...萎微褪色のほかはあるまいかに見える懸案として...
吉川英治 「折々の記」
...いまは何処に褪(あ)せ去ったか...
吉川英治 「新書太閤記」
...まだ色褪せぬ唇が...
蘭郁二郎 「魔像」
...あとの方になるといかにも佗しい褪(あ)せざまを見せて來ます...
若山牧水 「樹木とその葉」
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