...平生『敞衣褞袍、興衣狐狢立、而不恥者、其申也歟』など言うて、いささか誇りにしてゐた予も、人情の不意討を喰うて不覺の涙さへ禁じ得なんだ」當時の私の状態がいかに哀れなものに見えたかが想像せられます...
石川三四郎 「浪」
...垢染みて膩光(あぶらびか)りのする綿の喰出(はみだ)した褞袍(どてら)に纏(くる)まつてゴロリと肱枕をしつゝ...
内田魯庵 「貧書生」
...家へ帰つてはお召しの褞袍を着てゐても...
談洲楼燕枝(二代) 「燕枝芸談」
...褞袍(どてら)などを着せると...
徳田秋声 「爛」
...私は褞袍にくるんでいつものように足座の中に抱いてやった...
豊島与志雄 「生と死との記録」
...松本幸四郎(まつもとこうしろう)が高麗格子(こうらいごうし)の褞袍(どてら)に鉢巻(はちまき)して片手の指先にぼんやりと煙管(きせる)を支(ささ)へさせたるが如き...
永井荷風 「江戸芸術論」
...猿橋の西の詰(つめ)の茶屋の二階で郡内織の褞袍(どてら)を着て...
中里介山 「大菩薩峠」
...おら「ツアヽ」は短氣だから打つ殺されつかも知んねえ」「なにして又打つ殺されるやうなことに成つたんだ」「ゆんべ遊びに出て褞袍なくしつちやたんだ...
長塚節 「芋掘り」
...其褞袍は其後盜んだ奴が元の所へ捨てゝ置いたので再び兼次の手にもどつた...
長塚節 「芋掘り」
...木(こ)の葉(は)が陰翳(かげ)を落(お)として呉(く)れぬ冬(ふゆ)の夜(よ)には覘(ねら)うて歩(ある)く彼等(かれら)は自分(じぶん)の羞耻心(しうちしん)を頭(あたま)から褞袍(どてら)で被(おほ)うて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...動(うご)けぬ程(ほど)褞袍(どてら)を襲(かさ)ねて節制(だらし)なく紐(ひも)を締(し)めて...
長塚節 「土」
...「さうだな衣物(きもの)は焙(あぶ)る間(えゝだ)仕(し)やうねえなそんぢや褞袍(どてら)でも俺(お)ら家(ぢ)から持(も)つて來(く)つとえゝな...
長塚節 「土」
...鼠地(ねずみじ)のネルを重ねた銘仙(めいせん)の褞袍(どてら)を後(うしろ)から着せるつもりで...
夏目漱石 「明暗」
...旅籠屋(はたごや)の褞袍(どてら)を着たまま二里の道を中橋まで来て...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...わしが着ているこの褞袍(どてら)...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...押入れから褞袍を出して嘉吉の裾へかけてやつた...
林芙美子 「朝夕」
...如何ですか?」女中が褞袍を持つて来た...
林芙美子 「浮雲」
...田舎風に青い綴じ糸が表に出ている褞袍(どてら)をぐるぐると畳んで新聞紙に包んだ...
「海流」
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