...いたずらに恍惚と不安の複雑な溜息(ためいき)をもらして狭い部屋の中を...
太宰治 「東京八景」
...二重にも三重にも綾のある心理が徒らに複雑に思われ冷やかにさえ感じられるのに漸く不安と恐怖の念を抱くようになって...
辰野隆 「感傷主義」
...大きな蛾の複眼に或る適当な角度で光を当てて見ると気味の悪いように赤い...
寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
...ある元子はその複雑な形状のために互いに引っ掛かって結合して剛(かた)い物を造るが...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...複雑を単に複雑と観じたのでは...
時枝誠記 「国語学と国語教育」
...自分の捲き込まれている複雑な東京生活が...
徳田秋声 「黴」
...第三に字劃の複雜な日本文字は磨滅しやすく...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...この「文学生活」との内容の重複は...
豊島与志雄 「随筆評論集「情意の干満」後記」
...さてその最後の判断と云えば善悪とか優劣とかそう範疇(はんちゅう)はたくさんないのですが無理にもこの尺度に合うようにどんな複雑なものでも委細御構(おかまい)なく切り約(つづ)められるものと仮定してかかるのであります...
夏目漱石 「中味と形式」
...複数の原因が混合された結果であり...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...多数性の(ある新しい印象と言うべき)ある効果の複写であり...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...終(つい)に重複また重複...
正岡子規 「人々に答ふ」
...複雜なる趣向、言語の活用、材料の豐富、漢語俗語の使用、いづれも皆今日の歌界の弊害を救ふに必要なる條件ならざるはあらず...
正岡子規 「萬葉集卷十六」
...日本の文学は様々な意味で複雑...
宮本百合子 「意味深き今日の日本文学の相貌を」
...私の病気は本当に複合的におこって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...根本的で複雑でデリケイトな諸問題が非常に入りまじった形で投げ出されていて...
三好十郎 「恐怖の季節」
...政治の中には複雑で背反する人間の性情が含(ふく)まれている...
矢部貞治 「政治学入門」
...複雑果しない楽の音を聞くやうに...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
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