...我々は制度としての民主政体を得たことを喜んでいる余裕がないほど...
伊丹万作 「政治に関する随想」
...二人はここに一夕の余裕を得た...
伊藤左千夫 「春の潮」
...おびえたりする余裕がない...
大手拓次 「藍色の蟇」
...このうえ多くの物を掠め取る余裕はあるまいではないか...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...この棚の上を片附ける餘裕すら無しに文太郎は奮鬪を續けて來たのだと考へると...
高濱虚子 「續俳諧師」
...科学のよるべき世界観などに眼をむける余裕などありえなかった...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...一座の空気を顧慮する余裕もなかったようであります...
豊島与志雄 「立札」
...国直が人情本の挿絵はこれに反して小ぢんまりとしたる裏住居(うらずまい)の生活の余裕を描き示したるものといふべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...まことに融々(ゆうゆう)たる裕(ゆた)かさが家中に溢(あふ)れている...
中島敦 「弟子」
...柿の木のある富裕らしい農家が...
中谷宇吉郎 「鳥井さんのことなど」
...僕よりもっと余裕の足りない方へ順送(じゅんおく)りに送れと命令するんだよ...
夏目漱石 「明暗」
...或る種の芝居がかった余裕が判乎(はっきり)と分るので...
西尾正 「陳情書」
...裕福な町人達が一番閉口したのは夥(おびたゞ)しい通貸を貯へて置く場所でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...つめたい石段に頭をかかえて深い深いうかむことのない海の底にひきこまれた様な重い気持で思い込んで居た若い男は自分の傍にお龍の立って居るのなんかは知るだけの余裕がなかった...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...もう源氏は夕顔の花を思い出す余裕を持っていなかったのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...生活に余裕も出来たので...
森鴎外 「渋江抽斎」
...彼の貧嚢(ひんのう)ではそれを望んでみる余裕すらなかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...この政府の寛裕(かんゆう)は銀行の出資を全然防ぐものではなかった...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
便利!手書き漢字入力検索