...そのいくさのあるという上野の山下(やました)の雁鍋(がんなべ)の真後ろの処(今の上野町)に裏屋住まいをしている師匠の知人のことに思い当ったのであります...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...今日(こんにち)吾人の眼より見れば貧しきこの裏屋も風流閑雅なる隠宅の如き観あり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...古寺(ふるでら)と荒れた墓場とその附近なる裏屋の貧しい光景とを喜ぶのではない...
永井荷風 「日和下駄」
...すぐと裏屋根の物干へ出る硝子戸(ガラスど)をばビリビリ音させながら無理に明けようとしている...
永井荷風 「雪解」
...同(おな)じ町(まち)ながら裏屋(うらや)住居(ずまゐ)に成(なり)しよしは聞(き)けど...
一葉女史 「大つごもり」
...月(つき)五十錢(せん)の裏屋(うらや)に人目(ひとめ)の恥(はぢ)を厭(いと)ふべき身(み)ならず...
一葉女史 「大つごもり」
...同じ町ながら裏屋住居(ずまゐ)に成しよしは聞けど...
樋口一葉 「大つごもり」
...月五十銭の裏屋に人目の恥を厭(いと)ふべき身ならず...
樋口一葉 「大つごもり」
...裏屋の友達がもとに今宵約束も御座れば...
樋口一葉 「大つごもり」
...此(この)あたりの裏屋(うらや)より赫奕姫(かくやひめ)の生(うま)るゝ事(こと)その例(れい)多(おほ)し...
樋口一葉 「たけくらべ」
...くれゆく空(そら)のたど/\しきに裏屋(うらや)はまして薄暗(うすくら)く...
樋口一葉 「にごりえ」
...世間(せけん)は裏屋(うらや)に限(かぎ)れるものと定(さだ)め...
樋口一葉 「軒もる月」
...世間は裏屋に限れる物と定(さだ)め...
樋口一葉 「軒もる月」
...裏屋の夫婦が倦かれしとは事かはれば...
一葉 「暗夜」
...「土地でしにせの松浦屋、いかにそれが目のかたきじゃとて、甘い口でわしを引き寄せ、もろともに密輸出入(ぬけにあきない)――御奉行が承知の上のことゆえと、いやがるわしに、あきないをさせ、どたん場で、わが身は口をぬぐい、わし一人を、闕所(けっしょ)投獄(とうごく)――して、只今では、この大江戸で、大きな顔しての大商人――さぞ楽しゅうござろうな、のう広海屋どのう――」怪しげな手つきで、相手の首を引ッつかむかのごとく近づくので、広海屋は、たましいも、身にそわぬように、「あ、ああ! 怖ろしい! 怖ろしい! わしにはわからぬ――信ぜられぬ――たしかにみまかれたはずの松浦屋どのが――ああ! 怖ろしい――」「ヒ、ヒ、ヒ、ヒ」と、黒い影が、笑って、「わかりませぬか! 信じられませぬか! 与平どの――この顔をじーッとごらんなされ、おみつめなされ――牢屋から出されて、裏屋ずまい、狂うてくらしましたゆえ、さぞおもかげもちがったであろうが、これが、だれか、そなたにわからぬはずがない――のう、ようく、この顔を、御覧なされや!」「あッ! ゆるして下され、松浦屋どの、清左衛門どの! わしがわるかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...これは又ごく新しい、明治四十年頃の話で、徒士町の吉田といふ古本屋の親仁に聞いたのですが、山伏町の裏屋に、物貰に出る老人が首を縊つて死んだ...
三田村鳶魚 「物貰ひの話」
...中庭より直に楼に上るべき梯(はしご)かけたるなど西洋の裏屋(うらや)の如し...
森鴎外 「みちの記」
...魯達が裏屋根へ躍りでようとしたので...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索