...そして夜着にかけた洗い立てのキャリコの裏の冷え冷えするのをふくよかな頤(おとがい)に感じながら心の中で独語(ひとりご)ちた...
有島武郎 「或る女」
...宵から、銀座裏の、腰掛ではあるが、生灘(きなだ)をはかる、料理が安くて、庖丁の利く、小皿盛の店で、十二三人、気の置けない会合があって、狭い卓子(テエブル)を囲んだから、端から端へ杯が歌留多(かるた)のようにはずむにつけ、店の亭主が向顱巻(むこうはちまき)で気競(きそ)うから菊正宗の酔(えい)が一層烈(はげ)しい...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...広くもない屋根裏のこととて...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...表と裏の要所要所に見はりの警官を立たせておいて...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...やがて夜行列車が裏のお山にこだまして通りすぎました...
土田耕平 「狐に化された話」
...ズッと裏の方に建てた...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...白菜はいかにも軟かさうに眞白な葉裏の莖を日に曝(さら)してゐます...
永井荷風 「畦道」
...裏の納屋(なや)の方で...
夏目漱石 「草枕」
...裏の藪から伐って来て...
夏目漱石 「道楽と職業」
...天井裏の平次もそれを聞いてホツとします...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...屋根裏の女の一人住いも仲々いいものだと思った...
林芙美子 「新版 放浪記」
...青ペンキのはげた校舎裏の土俵の日溜(ひだま)りでは...
林芙美子 「新版 放浪記」
...そのすぐ裏の教會からはピアノの音が絶えず聞えて...
堀辰雄 「麥藁帽子」
...裏の方へまわってゆくと...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...うすよごれた足の裏の土ふまずの所へいきなり顔を持って行き鼻をふくらませてキッスをした...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...裏の草原(くさはら)を探しましたが...
夢野久作 「青水仙、赤水仙」
...上野の山裏の方へ...
吉川英治 「大岡越前」
...茶裏の黒小袖の袂を短く縫いこみ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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