...自分は葉子から預かった手鞄(てかばん)と袱紗(ふくさ)包みとを取り落とさんばかりにぶら下げたまま...
有島武郎 「或る女」
...彼女は持って来た袱紗包(ふくさづつみ)を釈(ほど)いて...
徳田秋声 「縮図」
...その小皿は茶袱臺の下へ置いたまゝだつた...
林芙美子 「夜福」
...うつくしき顏(かほ)に似合(にあは)ぬは心(こゝろ)小學校通(せうがくかうがよ)ひに紫袱紗(むらさきふくさ)對(つゐ)にせし頃(ころ)年上(としうへ)の生徒(せいと)に喧嘩(いさかひ)まけて無念(むねん)の拳(こぶし)を我(わ)れ握(にぎ)る時(とき)同(おな)じやうに涙(なみだ)を目(め)に持(も)ちて...
樋口一葉 「別れ霜」
...久慈の娘が袱紗包みの手紙の束を持ってきたことを話すと...
久生十蘭 「あなたも私も」
...袱紗(ふくさ)さばきの音も見せず書類を取りだし...
本庄陸男 「石狩川」
...朱の袱紗の上に金の兜を捧持して...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...気随気儘の大阪弁の卓袱料理を創造した畸才縦横の料理人こそ...
正岡容 「初代桂春団治研究」
...身は今旅の旅に在(あ)りながら風雲の念(おも)いなお已(や)み難く頻(しき)りに道祖神にさわがされて霖雨(りんう)の晴間をうかがい草鞋(わらじ)よ脚半(きゃはん)よと身をつくろいつつ一個の袱包(ふくさ)を浮世のかたみに担(にの)うて飄然(ひょうぜん)と大磯の客舎を出でたる後は天下は股の下杖一本が命なり...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...錦の袱紗(ふくさ)で幾重にも包み...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...柳行李(やなぎごうり)と袱裹(ふくさづつみ)を振分(ふりわけ)にして...
三木竹二 「いがみの権太」
...此袱紗は今淺井氏の所藏になつてゐるのを...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...袱紗は緋縮緬の表も...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...まごまごするな」袱紗をあけさせると...
山本周五郎 「七日七夜」
...袱紗(ふくさ)包みを出し...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...母が近江屋のお神さんに遣りました小さな袱紗の模様です...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...紫や紅の縮緬の袱紗(ふくさ)を帯から三角形に垂らした娘たちが...
横光利一 「洋灯」
...茶杓(ちゃしゃく)や袱紗(ふくさ)いじりをし始めた諸侯までが...
吉川英治 「新書太閤記」
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