...此力を捕捉するとは俺の衷に輝く光を次第に大きく...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...私は長い間の無益な動乱の後に始めて些(いささ)かの安定を自分の衷(うち)に見出した...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...説明的であり理知的である小説や戲曲によつて自分を表現するのでは如何しても物足らない衷心の要求を持つてゐた...
有島武郎 「詩への逸脱」
...雅俗折衷で面白可笑しく三日も連載物(つづきもの)にしたり...
石川啄木 「菊池君」
...衷心(ちゅうしん)から敬意を表して放送を終ります...
海野十三 「空襲警報」
...被害地の農民諸君に対して衷心同情を禁じえないのである...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...自分は衷心この月明に恥ぢねばならぬ...
高濱虚子 「續俳諧師」
...・泥あそび水あそびする子供らの幸福・戦地より帰隊せる大場部隊長の苦衷八月十一日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...西鶴を模倣したやうな紅葉露伴の雅俗折衷...
田山録弥 「尾崎紅葉とその作品」
...折衷は決して折衷しようと欲して折衷するものではなくて...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...だましだまし使用する苦衷は...
中里介山 「大菩薩峠」
...心底(しんてえ)せえよけりやえゝと思(おも)つてな」おつたは頻(しき)りに勘次(かんじ)の衷心(ちうしん)からの同意(どうい)を得(え)ようとした...
長塚節 「土」
...仁恵なる監督官は余が衷情(ちゅうじょう)を憐(あわれ)んで「クラパム・コンモン」の傍人跡あまり繁(しげ)からざる大道の横手馬乗場へと余を拉(らっ)し去る...
夏目漱石 「自転車日記」
...自分の衷心(ちゆうしん)の苦しい思ひなどを頻りに吹聽したりする良吉は...
正宗白鳥 「母と子」
...伝染を如何に速に根絶とすべきかを衷心から考える...
光田健輔 「小島の春」
...梅竜は仁斎学派より明霞の折衷学派に入り...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...和洋折衷とか云うような...
森鴎外 「鼠坂」
...圧迫や争闘は衷心(ちゅうしん)からの求めではない...
柳宗悦 「民藝四十年」
便利!手書き漢字入力検索