...近頃めっきり白さの増した頭髪やまた形相(ぎょうそう)の衰えが...
梅崎春生 「日の果て」
...その細い声が燈火が消えるように、段々衰えて、暗の中にとけ込んでしまうと、一層不気味な静寂が戻って来た...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...「すみません」素子の体は今のところでは少しも衰えを見せていない...
外村繁 「日を愛しむ」
...時によっては十日や二十日食わずとも意気の衰えぬ猛犬である...
中里介山 「大菩薩峠」
...なまじい衰えかけた幕府のお役人をつとめて当世に時めいているより...
中里介山 「大菩薩峠」
...衰えた体力を無理にふりしぼるように罵っている伯父の姿は全く悲惨であった...
中島敦 「斗南先生」
...盲目の衰え易い盛りの時期は過ぎ去って居るのである...
長塚節 「太十と其犬」
...吉田の老い衰えた母は...
葉山嘉樹 「生爪を剥ぐ」
...鉱山病と栄養不良のため衰えていた彼は黙って...
槇村浩 「同志古味峯次郎」
...乳母(めのと)も明石へ立って行ったころの衰えた顔はなくなって美しい女になっている...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...今なお徳行と幸福とにおいてかくも大きな・かくも驚嘆すべき・かくも永く衰えしぼまない・敬慕をうけているということこそ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...今はただ相当に長く苦しい衰えの生活をつづけるよりほかに道のないことを覚った...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...今はもう衰えていようとも...
柳田国男 「年中行事覚書」
...それが後衰えて、中興を説き、復活を唱(とな)うる声が高く挙がるとともに、かえって擬古を助長して脚下の社会との縁を薄くしたことは、古来何度となく繰り返された国々の文学史であった...
柳田国男 「木綿以前の事」
...「そうかもしれない、そこもとの云うとおりかもしれない」と立ったまま彼は云った、「だが私は自分で慥かめてみる、もういちど、腹を割って話してみるつもりだ、それが最後の御奉公だと思う」「最後のですって、――」「私はもう、いくらも生きられないのだ」「ばかなことを」「いや、もう長いいのちではない、それは自分でよく知っている、医者は病気が山を越したと云うし、自分でもときにそうかと思うこともある、だがそうではない、気力の衰えや、躯の芯(しん)から精のぬけてゆくことが、自分にははっきりわかる、もう先は短い、ということがわかったから、このいのち一つをお役に立てようと思ったのだ」「貴方らしいな」七十郎は酒を呷って云った、「おれは治ると云いだす病人は死ぬが、もう死ぬと云う病人は治るものです」「そこもとには似あわない」と新左衛門が微笑した、「そういう慰めはそこもとには似あわないな、だがもう疲れた、失礼して休息することにしよう」「いつ江戸へ立たれますか」「明日の朝、――」そう云って新左衛門は去った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...世が衰え紊(みだ)れる時にはこの理が崩れてくる...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...杖をつきつき衰えた歩みを運んで来る...
横光利一 「旅愁」
...漢室の衰えに痛恨して...
吉川英治 「三国志」
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