...新しがりの臭氣が著しく人の鼻を衝くから...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...われわれは南から同時に衝く...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...笈摺岩、右に天を衝く...
大町桂月 「上州沼田より日光へ」
...肴屋(さかなや)も果物屋(くだものや)も酢屋もまたごみ溜(ため)の匂いも交って鼻を衝く...
高浜虚子 「俳句への道」
...畑の横の石礫(いしころ)道を過ぎて胸を衝くような急坂を登り...
橘外男 「仁王門」
...たらたらと流れるわる赤い血――時としては人血も混じて――の池がむっと照り返って眼と鼻を衝く...
谷譲次 「踊る地平線」
...あきらめてはゐるやうですけれど――」ベツドの傍へ近づくと臭氣が鼻を衝くやうだつた...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...挨拶が終ると、小太郎が「益満は?」「浪士方と、お忙がしそうでござります」「何も聞かぬか」「何か、江戸に、騒ぎを起して、公方様から兵を出させ、薩摩と、長州と、水戸とが連合して、東西から、江戸を衝く、というような――」「薩摩では、誰々が、来ているな」「伊牟田、有村、有馬、奈良原と申しますような方々が、お見えになります」「成る程、軽輩の、暴れ者ばかりだのう」義観が「天下が、苦しくなっているから、上の者は、金が無いと動かぬし、動けぬし、下を動かすには、上に金が無く、上の進退谷(きわ)まっている時には、必ず下から動くものじゃ」「下には、英才がおりますから――」「英才は、いつでも、動くところに生じる...
直木三十五 「南国太平記」
...その大本(おほもと)を衝くことが出來さへすれば...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...各々はげしい自愛を衝くのだ...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...息を衝く間も見せず鮮かに鉄棒に戯れた...
牧野信一 「「或る日の運動」の続き」
...樽は宙で一息衝くと...
牧野信一 「酒盗人」
...私が息を衝く間に自らが取り交す諸種の対話を自ら注意することだけでも足りるのである...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...ぐつたりとして!」鯨井と田上が精一杯の溜息を衝くと...
牧野信一 「まぼろし」
...いよいよ本ものの探偵だなと私の胸は早鐘を衝くように鳴出した...
松本泰 「日蔭の街」
...奥さんに嘘を衝く位ですから...
森鴎外 「雁」
...この妙に牽きつけるものの中に衝くものの混る気具合も...
横光利一 「旅愁」
...何か胸を衝くような慈悲大愛の温かい息がこもっていた...
吉川英治 「親鸞」
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