...新しがりの臭氣が著しく人の鼻を衝くから...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...空間を衝く自分の力をもつと強くしなければならないと考へた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...挨拶が終ると、小太郎が「益満は?」「浪士方と、お忙がしそうでござります」「何も聞かぬか」「何か、江戸に、騒ぎを起して、公方様から兵を出させ、薩摩と、長州と、水戸とが連合して、東西から、江戸を衝く、というような――」「薩摩では、誰々が、来ているな」「伊牟田、有村、有馬、奈良原と申しますような方々が、お見えになります」「成る程、軽輩の、暴れ者ばかりだのう」義観が「天下が、苦しくなっているから、上の者は、金が無いと動かぬし、動けぬし、下を動かすには、上に金が無く、上の進退谷(きわ)まっている時には、必ず下から動くものじゃ」「下には、英才がおりますから――」「英才は、いつでも、動くところに生じる...
直木三十五 「南国太平記」
...思はず太い溜息を衝くと同時に...
牧野信一 「明るく・暗く」
...息を衝く間も見せず鮮かに鉄棒に戯れた...
牧野信一 「或る日の運動」
...息を衝く間も見せず鮮かに鉄棒に戯れた...
牧野信一 「「或る日の運動」の続き」
...「恋に焦れて悶ふるやうに――恋に焦れて悶ふるやうに――」本箱の中のオルゴウルが、アウエルバツハの酒場の歌を奏しはじめたりするのであるが、傾ける耳などを持ち合す筈もなく私は、全く毒を嚥んだ鼠に等しく七転八倒、正しく恋に焦れて悶ふるやうに狂ひ回つた上句、鎧櫃の在所を手探り求めると、夢中で、重い兜を頭に載せ、鎧を身につけ、そして黒い鉄の面あての中に顔を埋めて、吐息を衝くと、はじめて我身の生きてゐたことに微かな知覚を持つのであつた...
牧野信一 「鬼の門」
...達者な時ならば鬼柳の宿場で一息衝くと...
牧野信一 「剥製」
...水面に首垂れて深い吐息を衝くと...
牧野信一 「バラルダ物語」
...ぐつたりとして!」鯨井と田上が精一杯の溜息を衝くと...
牧野信一 「まぼろし」
...眼尻でまた小衝くやうにした...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...」と言ってよく小衝くことがあった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...しかしわたくしはを衝くことが嫌だから申しますが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...……胸を衝くような急斜面になり...
山本周五郎 「新潮記」
...この妙に牽きつけるものの中に衝くものの混る気具合も...
横光利一 「旅愁」
...多少は彼の条件を容れても、ここはじっとご自重あって対策を他日に期して和睦(わぼく)をお求めあることが万全であろうと考えられますが」「貴公もそう思うか」「勢いの旺なるものへ、あえて当って砕けるのは愚の骨頂です」「旺勢は避けて、弱体を衝く...
吉川英治 「三国志」
...蜀境を衝くような事態でも起っては重大であると思うて...
吉川英治 「三国志」
...何か胸を衝くような慈悲大愛の温かい息がこもっていた...
吉川英治 「親鸞」
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