...優れた探偵家の免(まぬが)れ難い衒気(げんき)であったのか...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...一口に言へば衒気(げんき)に満ちた作品でした...
薄田泣菫 「利休と遠州」
...心境未だし、デッサン不正確なり、甘し、ひとり合点なり、文章粗雑、きめ荒し、生活無し、不潔なり、不遜(ふそん)なり、教養なし、思想不鮮明なり、俗の野心つよし、にせものなり、誇張多し、精神軽佻(けいちょう)浮薄なり、自己陶酔に過ぎず、衒気(げんき)、おっちょこちょい、気障(きざ)なり、ほら吹きなり、のほほんなりと少し作品を濶達に書きかけると、たちまち散々、寄ってたかってもみくちゃにしてしまって、そんならどうしたらいいのですと必死にたずねてみても、一言の指図もしてくれず、それこそ、縋(すが)るを蹴とばし張りとばし意気揚々と引き上げて、やっぱりあいつは馬鹿じゃ等と先輩同志で酒席の笑い話の種にしている様子なのですから、ひどいものです...
太宰治 「風の便り」
...衒気(てらひげ)のないものは尠い...
田山録弥 「解脱非解脱」
...」笹村は死際までも幾分人間衒気(げんき)のついて廻ったような...
徳田秋声 「黴」
...芝居気(しばいげ)も衒気(げんき)も彼には沢山にあった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...多少の衒気(げんき)と...
中里介山 「大菩薩峠」
...嘘(うそ)を吐(つ)いて世間を欺(あざむ)くほどの衒気(げんき)がないにしても...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...叱りつけるほどの衒気(げんき)もなかった...
夏目漱石 「行人」
...平安な時あらゆる人に絶えず附け纏(まと)はる自己広告の衒気(げんき)は殆(ほとん)ど意識に上(のぼ)る権威を失つてゐる...
夏目漱石 「艇長の遺書と中佐の詩」
...衒気(げんき)があって自分以上を装(よそお)うようなものができたりして...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...」と聴き手は私の鬱陶しい衒気を瓦斯の様に嫌うに極まっている...
松永延造 「職工と微笑」
...若い内は作品は唯衒気(げんき)ばかりだ...
山本周五郎 「青べか日記」
...ついすると衒気(げんき)が出そうになり...
山本周五郎 「花も刀も」
...かりそめにも衒気(げんき)や大袈裟(おおげさ)を云わない人である...
吉川英治 「剣の四君子」
...衒気(げんき)でも負け惜しみでもなく...
吉川英治 「三国志」
...左大臣家で覗いていたまね事にすぎないが、郷土人の眼と舌を、驚かせてやろうとする、幼稚な衒気が、はたらいていた...
吉川英治 「平の将門」
...美少年の衒気(げんき)をたしなめるようにいう...
吉川英治 「宮本武蔵」
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