...此の別世界中の理想たる通とか粋とかを衒って社会と交渉しないのを恰も文人としての当然の生活なるかのように思っていた...
内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
...若い頃のは蜀山人以上に衒気(げんき)満々としていたが...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...やかましい衒学者さ...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...衒(てら)ったり...
高浜虚子 「俳句への道」
...軽噪と衒気(プリテンス)と解放と...
谷譲次 「踊る地平線」
...衒学が之である...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...平安な時あらゆる人に絶えず附け纏(まと)はる自己広告の衒気(げんき)は殆(ほとん)ど意識に上(のぼ)る権威を失つてゐる...
夏目漱石 「艇長の遺書と中佐の詩」
...あたかも死を衒(てら)う人のようであった...
夏目漱石 「道草」
...ちと衒(てら)うような気味にもなりますからやめに致します...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...女衒(ぜげん)見たいなお瀧を刺した...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...西洋人の思想を受賣りするより外に能なき衒學屋と流行屋を葬れ...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...実に衒(てら)いの...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
...他人の前では、何事につけても、平気を装ふたり、快活を衒つたり、酔つて葉山氏の口調を真似て、衣服や居住を意としないといふやうなことを壮語したこともあつたが、ふつと醒めて明るい日常に出遇ふと、己れの放つた矢で己れの胸を刺す思ひがするばかりだつた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...その頃自分はそれ迄に書いた自分の作品の誇張と衒氣に冷汗を覺えると同時に世上行はるる小説戲曲評論の類の小悧巧と恫に厭氣がさし先づ努めて自分の持つてゐる慣習的の技巧を振捨てようと考へた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...――女衒などという悪い人間を平気でのさばらせておいて...
山本周五郎 「風流太平記」
...或いは新奇を衒つて全部英語で書いたものや...
吉井勇 「逢状」
...花街攀柳(かがいはんりゅう)の園(その)というものは男にとり妙な衒(てら)いとちがった分別をさせるもので...
吉川英治 「私本太平記」
...それほどばかな衒気(げんき)もない...
吉川英治 「平の将門」
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