...衒學といつてもあんな愉快なのはありませんでした...
アーヴィング 高垣松雄訳 「クリスマス・イーヴ」
...――袈裟(けさ)がその愛を衒(てら)っていた夫を殺そうと云うくらい...
芥川龍之介 「袈裟と盛遠」
...優れた探偵家の免(まぬが)れ難い衒気(げんき)であったのか...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...魚どもは誰に見せようといふ衒ひも無く自由に嬉々として舞ひ遊ぶ...
太宰治 「お伽草紙」
...芝居気(しばいげ)も衒気(げんき)も彼には沢山にあった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...それが実は単に「文学」の衒学的でアカデミックな延長に過ぎない点を見れば判るだろう(例は沢山あるが曾て私はこの点について小林秀雄氏について書いたことがある)...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...彼れの言行には、一點の衒耀なく、夸張なく、文采の燦爛たるものなく、活氣の飛動せるものなく、常に克己、自制、規律を以て鍛錬せられたる軍人氣質の標本たりき...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...奇を衒わない陳腐な取扱方のうちに...
豊島与志雄 「異邦人の意欲」
...後世に残そうのという衒(てら)い気味は少しもなく...
中里介山 「大菩薩峠」
...無理矢理に自己の趣味観を衒(てら)うの愚(ぐ)を笑うのである...
夏目漱石 「草枕」
...皿洗い、コック、自動車運転の助手、職工、人夫、艶歌師、女衒(ぜげん)、などなど、これらの生業(なりわい)と共に社会の裏側に蠢(うご)めき続け、その時も尚パリの裏街、――貧しい詩人や絵描きや音楽家や、そしてそれらの中の埋もれたる逸材を発見して喰いものにしようとする飢えたる狼の如き、卑しい利得一点張りの本屋や画商やが朝から晩迄犇(ひし)めき合う雑然たる長屋区域Q街の一隅の屋根裏の部屋にとぐろをまいていた頃、次郎蔵の懐ろに巨額の上演料が転げ込んで来た...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...衒学的(ペダンテイツク)なことを口走る癖はあつたが...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...「いっぱし洒落(しゃれ)たつもりなんだろう」「洒脱(しゃだつ)を衒(てら)っているのさ...
山本周五郎 「いさましい話」
...大手を振って歩いていますわ」二「あなたは女衒という者も御存じじゃないし...
山本周五郎 「風流太平記」
...女衒(ぜげん)の久六の道中差...
吉川英治 「剣難女難」
...あくまで無事を衒(てら)って...
吉川英治 「私本太平記」
...しかも何の衒(てら)いも見えなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...そして衒(てら)わず媚(こ)びずである...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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