...晩(く)れ行く秋の三日四日...
石川啄木 「葬列」
...土手の木の根元に遠き春の雲松風や日々濃くなる松の影あらましを閉せしのみの夕牡丹夏草や野島ヶ崎は波ばかり眼の前を江の奥へ行く秋の波降る雪や明治は遠くなりにけり (昭和十二年四月二十六日)...
伊丹万作 「広告」
...倏忽(しゅっこつ)に時は過ぎ行く秋の雨昭和八年十月八日 田園調布...
高浜虚子 「五百句」
...独り静(しずか)に移り行く秋の日光(ひかげ)を眺めていましょう...
永井荷風 「監獄署の裏」
...行く秋の曇った午過(ひるす)ぎは物の輪廓を没して...
永井荷風 「監獄署の裏」
...墓詣(はかまうで)過し世の蟲ばみし物の本ふと読むまゝになつかしく作者のこともおもはれてふけ行く秋の昼さがりその墳墓(おくつき)をたづぬるに場末の町のいくまがり小家つゞきの道のはて子供のさわぐ浄土寺苔と落葉に埋れてかけし地蔵ともろともにはかなく残る石ひとつ...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
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長塚節 「長塚節歌集 中」
...行く秋を重いものが上から囲んでいる...
夏目漱石 「野分」
...ジーンと鳴いて行く秋の蝉...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...今晩は少し過すことにしようよ」平次は大きく伸びをして雀色(すゞめいろ)に暮れて行く秋の街を見やりました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今晩は少し過すことにしようよ」平次は大きく伸びをして雀色(すずめいろ)に暮れて行く秋の街を見やりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...空の高いところをサラサラとわたって行く秋風のようなわびしい音が流れだしてきた...
久生十蘭 「だいこん」
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前田普羅 「普羅句集」
...徒に立って行く秋の貴さと健康の有難味を思う...
宮本百合子 「秋毛」
...行く秋の黄昏(たそがれ)時の心細さの覚えられる路(みち)へ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...門をはいるとすぐにもう行く秋の身にしむことを中将は感じた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...南天の蔭に背中を見せて帰って行く秋三の姿が眼についた...
横光利一 「南北」
...前に行く秋山大助の影をじっと見透かした...
吉川英治 「剣難女難」
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