...水島(みづしま)、室山(むろやま)の二戰に勝利を得しより、勢ひ漸く強く、頼朝、義仲の爭ひの隙(ひま)に山陰、山陽を切り從へ、福原の舊都まで攻上(せめのぼ)りしが、一の谷の一戰に源九郎が爲に脆くも打破られ、須磨の浦曲(うらわ)の潮風に、散り行く櫻の哀れを留めて、落ち行く先は、門司(もじ)、赤間(あかま)の元の海、六十餘州の半を領せし平家の一門、船を繋(つな)ぐべき渚(なぎさ)だになく、波のまに/\行衞も知らぬ梶枕(かぢまくら)、高麗(かうらい)、契丹(きつたん)の雲の端(はて)までもとは思へども、流石(さすが)忍ばれず...
高山樗牛 「瀧口入道」
...おどおどと、ほとんど卑屈に、「先生は? いらっしゃいません?」「はあ」と答えて、気の毒そうに私の顔を見て、「でも、行く先は、たいてい、……」「遠くへ?」「いいえ」と、可笑(おか)しそうに片手をお口に当てられて、「荻窪ですの...
太宰治 「斜陽」
...行く先がおわかりかと思います」私は飛び立つ思いで...
太宰治 「斜陽」
...だからわしは行く先々で話の種になるような事を仕出来(しでか)したのじゃ...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「青玉の十字架」
...蝉(せみ)の声などのまだ木蔭に涼しく聞かれる頃に、家を出ていった彼女は、行く先々で、取るべき金の当がはずれたり、主(あるじ)が旅行中であったりした...
徳田秋声 「あらくれ」
...机竜之助が落ち行く先もまた京都であるとすれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...行く先々で見物(みもの)にされるのでやつれてしまった...
久生十蘭 「奥の海」
...源氏にも頭中将にも第二の行く先は決まっていたが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...前の甑島の例でも察せられるごとく山の上の風見の鴉(からす)ばかりでは砂の行く先はきめられぬ...
柳田國男 「地名の研究」
...実際は行く先々で補給せられ...
柳田国男 「木綿以前の事」
...その行く先々で醜業をやっている...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...西か東か行く先も知れないというし...
吉川英治 「私本太平記」
...その行く先を極秘にされ...
吉川英治 「新書太閤記」
...行く先はどこだと...
吉川英治 「新書太閤記」
...行く先も頻りと多い...
吉川英治 「新書太閤記」
...ここで行者(ぎょうじゃ)武松の行く先は...
吉川英治 「新・水滸伝」
...行く先だけを伺いましょう」久六も...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...(わたしの行く先を教えてください――)と...
吉川英治 「宮本武蔵」
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