...)万雷波に躍(をど)りて、大軸を砕(くだ)くとひびく刹那(せつな)に、名にしおふ黄海の王者、世界の大艦もくづれ傾むく天地の黒裡(こくおうり)、血汐を浴びて、腕をば拱(こまぬ)きて、無限の憤怒、怒濤(どたう)のかちどきの渦巻く海に瞳を凝(こ)らしつつ、大提督は静かに沈みけり...
石川啄木 「詩」
...沸き激つ血汐に新なるどよめきを起すは...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...瞳子(ひとみ)凝らしし少女子が柔(やわ)き額をながれけむ熱き血汐の湧きかへり...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...憂悲愁(うきかなしみ)が互(たが)ひの血汐(ちしほ)を涸(か)らしたのぢゃ...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...血汐に染みて武具剥げる其アレースに見られじと...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...このわくわくと狂うような胸の血汐(ちしお)を押鎮めようとするに過ぎないらしいのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...どこかに隠れていた血汐(ちしお)が...
中里介山 「大菩薩峠」
...飛んだ血汐があたりに散った...
根岸正吉 「落ちぬ血痕」
...手から腕へ流るる血汐...
野村胡堂 「十字架観音」
...こう血汐に汚れては見る影もありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鴛鴦(ゑんあう)の床は溢(あふ)れるばかりの血汐にひたされ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...日のめぐりがお前の血汐を流さぬまにお前は盃(はい)に葡萄(ぶどう)の血汐を流せ...
オマル・ハイヤーム 'Umar Khaiyam 小川亮作訳 「ルバイヤート」
...美奈子は良人(をつと)と自分との若い血汐も魂(たましひ)も元気も皆之(これ)に籠(こも)つてあると思つて...
與謝野寛 「執達吏」
...光子(てるこ)の御方だけは今にもそこへ流れる血汐を...
吉川英治 「剣難女難」
...きッと奉納(ほうのう)いたします」血汐(ちしお)も吐(は)かんばかりである...
吉川英治 「神州天馬侠」
...サーッと早い血汐が裾へ行った...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...甲賀世阿弥の血汐とぎらん草の汁に染まって...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...甲賀世阿弥の尊い血汐に対して会わせる顔があろうか...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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