...ついに戸田の殿様を暗殺してやろうという血気にはやるのが...
中里介山 「大菩薩峠」
...みなさんをすっかり怒らせてしまいまして」「血気にはやる馬鹿者ども...
山本周五郎 「雨あがる」
...血気にはやる人間は少なくない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「六十万石を、分割だと」「もちろん根もない妄説(ぼうせつ)です」と甲斐は云った、「老中の厩橋(うまやばし)(酒井忠清)侯とお屋形さまとのあいだで、――伊達家中になにか紛争を起こして、六十万石を分割し、三十万石をお屋形さまに与えるという契約があり、証文まで交わされているというのです」「誰が」と兵部は吃(ども)った、「なに者がさようなことを」甲斐は静かに、もちろん、と首を振りながら遮った、「多少なりとも思慮のある者なら、根もない妄説だということはすぐわかります、しかし、血気にはやる者、事を好む者、年が若く分別の足らぬ者などには、虚妄の説ほど信じやすく、いったん信ずればそれを固執して動きません、私を襲った刺客は、私がお屋形さまにくみして、六十万石分割を謀っていると信じたからで、もしこのたびの事が置毒であるとわかれば、かれらはきっと、東市正さまにその鉾(ほこ)を向けることでございましょう」「なぜ東市正を覘(ねら)うのだ」「厩橋侯との契約は、東市正さまとの御縁にある、とかれらは信じております、されば、事の根元が東市正さまにあると思うのはしぜんでございましょう」「ばかなことだ、ばかげたことだ」と兵部が云った、「それは狂気の沙汰だ、そんな蒙昧(もうまい)な人間がおろうとは思われない、それは船岡の臆測ではないのか」「私が現に、刺客に襲われたことは、御存じの筈です」「それで、次は東市正だ、というわけか」「いや、――よくお考え下されば、お屋形さまにも御推察のつくことです、名はあげませぬが、誰それこそ藩家に害をなす人であると、口に、文書に、触れまわっている者があります」「里見十左衛門だな」「名はあげません、しかしそれが一人や二人ではないこと、また無思慮な若者どもが、その煽動(せんどう)に乗って、いかなる暴挙に出ようとしているかは、およそ御推察がつくと思います、私だけの臆測ではございません、多くの事実が示しております」兵部は、暑い、と云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...さりながら血気にはやる暴勇...
吉川英治 「剣難女難」
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