...それは倉地が葉子の蠱惑(こわく)に全く迷わされてしまって再び自分を回復し得ない時期があるだろうというそれだった...
有島武郎 「或る女」
...会衆は蠱惑(こわく)されて聞(き)き惚(ほ)れていた...
有島武郎 「クララの出家」
...自分を美と蠱惑(こわく)の幻像(まぼろし)だといふ覚悟を忘れてはならぬ...
薄田泣菫 「茶話」
...山(やま)の嫗(おうな)の蠱(まじ)ものに...
薄田淳介 「白羊宮」
...折ッタリ伸バシタリシテ最モ蠱惑的(こわくてき)ナル角度カラ撮ッタ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...変に蠱惑(こわく)的に私の心を掻(か)き(むし)りました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...自分の肉体が男にとっては抵抗し難い蠱惑(こわく)であること...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...かつては美しく蠱惑(こわく)にみちて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...怪しい蠱毒が全身に泌み渡るのを覚ゆる...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...三種宛を含むものに履・蠱・觀・(これは見方によつては五種ともなる)賁・剥・蹇・歸妹・豐などの卦がある...
内藤湖南 「易疑」
...また蠱惑的である...
中井正一 「脱出と回帰」
...都では巫蠱(ふこ)の獄が起こり戻太子(れいたいし)の悲劇が行なわれていたころ...
中島敦 「李陵」
...彼女の蠱惑的な頭べの上に...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...神々しい夜だ! 蠱惑的な夜だ! 闇にとざされた森は霊化したもののやうにさゆらぎもせず...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...その蠱惑的(こわくてき)美貌と...
牧逸馬 「戦雲を駆る女怪」
...美(うつく)しい蠱惑(こわく)に充(み)ちて押(お)し寄(よ)せることだらう!外(そ)れるな...
水野仙子 「悔」
...傷から出た血が乾いて今まで鷹羽に条(すじ)や斑となって残ったとある(オエン『老兎巫蠱篇(オールド・ラビット・ゼ・ヴーズー)』一三六頁)...
南方熊楠 「十二支考」
...新貨幣のおかげで夜の脇腹(わきっぱら)から彼女の蠱(まどわ)しい横顔を藍色の夜にあらわした...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
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