...葉子は自分のして見せる蠱惑的(こわくてき)な姿態(しな)がいつでも暗々裡(あんあんり)に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった...
有島武郎 「或る女」
...自分でも驚くほどな蠱惑(こわく)の力がこめられていた...
有島武郎 「或る女」
...俺はどれほど蠱惑的(こわくてき)でもそんなところにまごついてはいられない...
有島武郎 「星座」
...そしておのれの持つ最も蠱惑(こわく)的な美を発揮したいならば...
伊丹万作 「演技指導論草案」
...何という妖しいまでの蠱惑(こわく)さ美しさ...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...変に蠱惑(こわく)的に私の心を掻(か)き(むし)りました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...さういふものが際限なくかれを蠱惑させた...
田山録弥 「赤い鳥居」
...やっぱり彼女が蠱惑的に見え...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...それ以外に或る大きな蠱惑が私を囚えていたように思われる...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...それに蠱惑(こわく)されていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...如何に蠱惑的でまた力弱いことであろう! 其処に...
豊島与志雄 「春の幻」
...妙に蠱惑的(こわくてき)ですが...
野村胡堂 「江戸の火術」
...遥か彼方から如何にも蠱惑的(こわくてき)に地主館(やかた)の赤い屋根と白い煙突とが...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...虚誕妄説を軽信して巫蠱(ふこ)神仏に惑溺し...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...プルウストは自分の中に世界を非常に蠱惑的なるものとして受け入れると同時に...
堀辰雄 「プルウスト雜記」
...紫頭巾の蠱惑(こわく)な顔が浮かび出ました...
吉川英治 「江戸三国志」
...その蠱惑(こわく)な姿態(しな)を甘えるようにくずしながら...
吉川英治 「江戸三国志」
...凡(およ)そ浮かれ男の眼にはそれがアラビア海のマラバル岬に鮮かな赤更紗の虹がうき出たように濃い色彩を着けたことは勿論だがまた彼女が短いスカートから現した近代的な武装を解除した両脚にはいた棕櫚(しゅろ)の葉で作ったような靴下の野性的な蠱惑(こわく)の中から浮かれ男の思いもよらぬ数々の女の生命が幻燈のように現れてくるのだ...
吉行エイスケ 「孟買挿話」
便利!手書き漢字入力検索