...次第に蠱惑がわしの心を捕へてしまつたからである...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...目の前に見る酒に赤らんだ事務長の顔は妙に蠱惑的(こわくてき)な気味の悪い幻像となって...
有島武郎 「或る女」
...蠱でも何でもない...
薄田泣菫 「茶話」
...利太郎の横恋慕(よこれんぼ)にどの程度の熱意があったか知るべくもないが若年の頃は誰しも年下の女より年増(としま)女の美に憧(あこが)れる恐らく極道の果てのああでもないこうでもないが昂(こう)じたあげく盲目の美女に蠱惑(こわく)を感じたのであろう最初は一時の物好きで手を出したとしても肘鉄砲(ひじでっぽう)を食わされた上に男の眉間まで割られれば随分性悪(しょうわる)な意趣晴らしをしないものでもない...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...さういふものが際限なくかれを蠱惑させた...
田山録弥 「赤い鳥居」
...それが都会の蠱惑である...
豊島与志雄 「悪夢」
...私はその蠱惑にかかって...
豊島与志雄 「悪夢」
...其処から怪しい蠱惑(まどわし)の不安が手を伸した...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...それに蠱惑(こわく)されていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...蠱惑的な鬼気は物の深みに姿を潜めてしまう...
豊島与志雄 「真夜中から黎明まで」
...三種宛を含むものに履・蠱・觀・(これは見方によつては五種ともなる)賁・剥・蹇・歸妹・豐などの卦がある...
内藤湖南 「易疑」
...彼の詩境を一貫して流れてゐる蠱惑の中心點はこれである...
萩原朔太郎 「田端に居た頃」
...神々しい夜だ! 蠱惑的な夜だ! と...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...そうして異性の弱点をあらゆる方向から蠱惑(こわく)しつつ...
夢野久作 「鉄鎚」
...又は神秘的にそうして忽ちクスグッタそうに満場を蠱惑(こわく)しいしい引き続いている...
夢野久作 「二重心臓」
...自分の愛撫を求めてやまない蠱惑(こわく)な彼女の両の手をどう振り離しましょうか...
吉川英治 「江戸三国志」
...これを男に濡れさせてみたくなるばかりな蠱惑(こわく)をひそめ...
吉川英治 「私本太平記」
...新貨幣のおかげで夜の脇腹(わきっぱら)から彼女の蠱(まどわ)しい横顔を藍色の夜にあらわした...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
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