...蠧魚(しみ)喰い銹(さ)びくさり盗人(ぬすびと)うがちてもち去る財宝をたくわえることに従事しているのである...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...退(しりぞ)いては蠧魚(とぎょ)と為(な)り...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...ただ思うさま吹きつくした南風が北にかわる境(さかい)めに崖を駈けおりて水を汲んでくるほどのあいだそれまでの騒(さわが)しさにひきかえて落葉松(からまつ)のしんを噛む蠧(きくいむし)の音もきこえるばかり静(しずか)な無風の状態がつづく...
中勘助 「島守」
...本棚の蠧(しみ)を防ぐ樟脳(しょうのう)の目にしむ如き匂(にお)いは久しくこの座敷に来なかったわたしの怠慢を詰責(きっせき)するもののように思われた...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...病余孤独の身は家を修むる力なく蔵書は唯蠧(むし)の喰うにまかすより外はなかったからである...
永井荷風 「写況雑記」
...米穀に俵の虫あり糞尿に蛆あり獅子に身中の虫あり書に蠧(と)あり国に賊あり世に新聞記者あり芸界に楽屋鳶ありお客に油虫あり妓に毛虱あり皆除きがたし...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...乃至(ないし)は五車(ごしゃ)にあまる蠧紙堆裏(としたいり)に自己が存在する所以(ゆえん)がない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...書物を蠧蝕する害虫は上に述べた甲虫の仔虫すなわち幼虫が筆頭で大関である...
牧野富太郎 「植物記」
...加へて深刻なる音楽の重圧と残虐なる感情の蠧惑とを弥が上に圧し出してくれる事...
室生犀星 「愛の詩集」
...蠧蝕(としよく)は極て少い...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...蠧蝕(としよく)の処が少しあるが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...此所には蠧蝕(としよく)は無い...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...簡編蠧蝕...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...これを蠧冊(とさつ)の中に求めむは...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...蠧魚(しみ)に食われ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...こちらは書物の蠧魚(むし)に過ぎん」「いや...
吉川英治 「私本太平記」
...「機務(キム)ヲ蠧害(トガイ)シテ...
吉川英治 「私本太平記」
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