...蝎の如くに蟠れり...
芥川龍之介 「るしへる」
...何の濁りも蟠(わだかま)りもなかった...
徳田秋声 「新世帯」
...此の後に山片蟠桃...
内藤湖南 「大阪の町人と學問」
...されど庭ひろびろとして樹木尠(すくな)からず手水鉢(ちょうずばち)の鉢前には梅の古木の形面白く蟠(わだかま)りたるさへありき...
永井荷風 「書かでもの記」
...百日紅の大木の蟠(わだかま)った其縁先に腰をかけると...
永井荷風 「百花園」
...荒草の間に蟠踞(ばんきょ)していたところの巨大なる切石のはざまにうずくまって...
中里介山 「大菩薩峠」
...列仙(れっせん)の集まる蟠桃会(はんとうえ)を擾(さわ)がし...
中島敦 「悟浄歎異」
...此日も關田の濱へ行く松蔭に休らひ見れば暑き日は浪の膨れのうれにきらめく此日平潟より南へわたる長濱といふ所の斷崖の上に立ちて蟠る松の隙より見おろせば搖りよる波はなべて白泡枝交はす松が眞下は白波の泡噛む巖に釣る短人十二日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...――刈り込まざる髯!棕櫚箒(しゅろぼうき)を砧(きぬた)で打ったような髯――この気魄(きはく)は這裏(しゃり)に磅(ほうはく)として蟠(わだか)まり瀁(こうよう)として漲(みなぎ)っている...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...何だか話(はな)し悪(にく)い或(ある)蟠(わだか)まりがあるからだと思はずにはゐられなかつた...
夏目漱石 「それから」
...蟠(わだかま)りもなく笑っております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...下手人といふのは?」平次は蟠(わだか)まりのない調子でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...實は退引ならぬ二人の間の蟠(わだかま)りの雲を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...どうぞ」何んの蟠(わだかま)りもありません...
野村胡堂 「流行作家の死」
...漢名石蛇というほど蟠(ま)いた蛇に酷(よく)似いる...
南方熊楠 「十二支考」
...――いいなア」と彼は蟠って来た思いを吹き消すようにそう云って...
横光利一 「旅愁」
...童歌はこういっている……八九年間ハジメテ衰(オトロ)エント欲ス十三年ニ至ッテ孑遺(ケツイ)無(ナ)ケン到頭(トウトウ)天命帰ス所アリ泥中(デイチュウ)ノ蟠龍(ハンリュウ)天ニ向ッテ飛ブこれをあなたはどう判じられるか? ……」「さあ...
吉川英治 「三国志」
...なお蟠踞(ばんきょ)している松永弾正久秀などまで...
吉川英治 「新書太閤記」
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