...椿岳はこの依頼を受けると殆んど毎日東京の諸寺を駈巡(かけめぐ)って格天井の蟠龍を見て歩いた...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...こうして胸襟(きょうきん)を開いて語ればお互に何の蟠(わだかま)りもなく打解ける事が出来た...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...大膳大夫の両奸蟠踞するがゆゑなり...
太宰治 「右大臣実朝」
...点々と巨竜の蟠(わだかま)る恰好で...
田中英光 「箱根の山」
...君! もっともっとスピイドを出したまえ!蟠踞(ばんきょ)する丘と玉突台のような牧場と...
谷譲次 「踊る地平線」
...背一面に蟠(わだかま)った...
谷崎潤一郎 「刺青」
...東至于蟠木」といふ...
内藤湖南 「禹貢製作の時代」
...平常心の底に蟠(わだかま)っている怨恨(えんこん)は折々われ知らず言葉の端にも現われそうになるのを...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...――刈り込まざる髯!棕櫚箒(しゅろぼうき)を砧(きぬた)で打ったような髯――この気魄(きはく)は這裏(しゃり)に磅(ほうはく)として蟠(わだか)まり瀁(こうよう)として漲(みなぎ)っている...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...何だか話し悪(にく)い或蟠(わだか)まりがあるからだと思わずにはいられなかった...
夏目漱石 「それから」
...それからその土手の上に蟠(わだか)まる黒い松の木が見えるだけであった...
夏目漱石 「明暗」
...何んか御用で」平次は蟠(わだかま)りのない調子で迎へます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...心の中に蟠(わだかま)ッていた鬱懐が一時に晴れあがるような気がした...
久生十蘭 「湖畔」
...その眼で陽のとどかない室の隅を見ると夢のやうに白い煙りが蟠つてゐるかのやうにも見えました...
牧野信一 「愚かな朝の話」
...もう樽野には何の蟠りもなかつた...
牧野信一 「円卓子での話」
...この時ふとどきりと蟠つたものがあつた...
水野仙子 「女」
...漢名石蛇というほど蟠(ま)いた蛇に酷(よく)似いる...
南方熊楠 「十二支考」
...童歌はこういっている……八九年間ハジメテ衰(オトロ)エント欲ス十三年ニ至ッテ孑遺(ケツイ)無(ナ)ケン到頭(トウトウ)天命帰ス所アリ泥中(デイチュウ)ノ蟠龍(ハンリュウ)天ニ向ッテ飛ブこれをあなたはどう判じられるか? ……」「さあ...
吉川英治 「三国志」
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