...どうせ蛆(うじ)と蝿(はえ)とに...
芥川龍之介 「偸盗」
...その時蝿は右の方に位置を移した...
有島武郎 「星座」
...かの一匹の蝿はもうそこにはいなかった...
有島武郎 「星座」
...男の顔には再び蝿が戻って止り始めるらしかった...
梅崎春生 「日の果て」
...夫は私の寝顔見ながら団扇(うちわ)で蝿(はい)追うてた...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...……蝿を殺す、油虫を殺す、百足を殺す、蜘蛛を殺す、……そしておしまひには私自身を殺すだらう!……あまり予期してゐなかつた酒が魚が持ち来された(一昨日、幸便に托して、山田屋主人に酒と魚を借りたいといふ手紙をあげてをいたのであるが)、さつそく飲んだ(五日ぶりの酒であり魚であつた)、快い気分になつて、学校に樹明君を訪ねて来庵を促した(そして米と野菜とを貰つて)、それからまた飲んだ、飲んで街へ出た、ひよろひよろになるまで飲んだ、ちようど私の不在中訪ねて来て、私を探し歩いてゐる敬君に逢うて...
種田山頭火 「其中日記」
...・わかれて遠い瞳が夜あけの明星・草ふかく韮が咲いてゐるつつましい花植ゑるより蜂が蝶々がきてとまる花・日向ぼつこは蝿もとんぼもみんないつしよに・更けると澄みわたる月の狐鳴く・朝月あかるい水で米とぐ九月十四日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...「琥珀(こはく)の中の蝿(はえ)」などと自分で云っているが...
寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
...蝿とか烏なら、死体にたかることもありましょうが、まさか、沢蟹が……...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...蝿はやがて飛べなくなってしまうだろう...
豊島与志雄 「悲しい誤解」
...蝿叩きで叩き潰してやった...
豊島与志雄 「蜘蛛」
...蝿(はえ)が雲のように群れて飛び回っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...こいつは蝿と同様...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...米粒が固く張りついている茶碗の上で合掌してみせたりしている小蝿達を伊代は飽きずに眺めていた...
林芙美子 「帯広まで」
...人間社会を支配している機械の歯車の中へ不用意に飛びこんだ蝿のようなもので...
平林初之輔 「犠牲者」
...蝿は重苦しい暑さの中に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...その茎に粘液を出し蝿がとまると脱さぬ...
南方熊楠 「きのふけふの草花」
...それから私は五月蝿くなく...
横光利一 「火の点いた煙草」
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