...偶(たまたま)路傍の大石(たいせき)に一匹の蝿(はへ)のとまれるあり...
芥川龍之介 「病中雑記」
...……清逸はそこまで考えてくると眼の前には障子も蝿もなくなっていた...
有島武郎 「星座」
...あなたは蒼蝿(うるさ)いほど蝦蟇(がま)の叫びを聴き出すでしょう...
魯迅 井上紅梅訳 「鴨の喜劇」
...これ蝿も蚊も有するものなればなり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...僕はもう君たちが蝿ほども怖(こわ)かあない...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...その熱したてらてらした顔に蝿がとまると彼は狂人のように罵った...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
......
種田山頭火 「其中日記」
...馬小屋の蝿さへ此処まで押寄せて来なければ...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...それは蝿を招く蜘蛛の糸の惑わしだ...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...蝿は電球に滑り滑りくっついたり...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...蚊と蝿とカミキリ虫とを憎む...
豊島与志雄 「美醜」
...蝿(はへ)はブンブン 唸つてる畳ももはや 黄色くなつたと今朝がた 誰かが云つてゐたつけそれやこれやと とりとめもなく僕の頭に 記憶は浮かび浮かぶがまゝに 浮かべてゐるうちいつしか 僕は眠つてゐたのだ覚めたのは 夕方ちかくまだかなかなは啼(な)いてたけれど樹々の梢は 陽を受けてたけど...
中原中也 「在りし日の歌」
...執拗(しゅう)ねく問わるることの蒼蝿(うるさ)くて...
福田英子 「妾の半生涯」
...「でも人間も夜は蝿が天井に止まったようになっているのだと申しますね」といった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...蝿もうるさい...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...かかり合になると五月蝿えからな」石松...
山中貞雄 「森の石松」
...つけ放したままの電灯にたかった蝿もじっと動かない...
横光利一 「夜の靴」
...蝿のたかりやすい腐れ物はいくらも存在していますが...
吉川英治 「新書太閤記」
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