...千日草浦島草のまわりで蝶(ちょう)や蜻蛉(とんぼ)を追いまわしているようすだ...
伊藤左千夫 「紅黄録」
...菜の花に遊ぶ蝶を見て愉快に思う情はそのために毫も変らぬ...
丘浅次郎 「いわゆる自然の美と自然の愛」
...ぼんやり縁に坐つてゐる、――蝶がとぶ、とんぼがからむ、蜂がなく、虫がなく、木の葉がちる、小鳥がちらつく、――私の沈んだ情熱がそこらいちめんにひろがつてゆく...
種田山頭火 「其中日記」
...狹(せま)い庭(には)の垣根(かきね)に黄色(きいろ)な蝶(てふ)が幾(いく)つも止(とま)つて頻(しき)りに羽(はね)を動(うご)かして居(ゐ)るやうに一つ/\にひらり/\と開(ひら)いては夜目(よめ)にもほつかりと匂(にほ)うて居(ゐ)る月見草(つきみさう)は自分等(じぶんら)の夜(よる)が來(き)たと...
長塚節 「土」
...「木戸の蝶番(てふつがひ)に油を注(さ)して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...及川先生は戦争がすむと蝶蝶ばかりつかまえて大切にしていたんですって」おとうさんの影法師が僕たちの前をひょこひょこ歩いて行きます...
林芙美子 「お父さん」
...すると蝶々は高く高く舞上った...
原民喜 「童話」
...ある花の匂いで殺した鳥や鼠や蝶などに臨むとき...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...」崖下の共同浴場の窓から――草は萌えたち、鳥は歌ひ、蝶は舞ふ、何と長閑な春となつたといふに、何うして俺は斯んなにも物憂気なのだらうか、働いても/\楽にならない貧乏の扇が煽りを止めぬためだらうか、などゝいふ風なくだらぬ意味の歌が、然し、それが歌手自身の真心からの溜息であるかのやうに悠やかな韻律で響き、歌の絶(き)れ目となると、ワツハツハ……といふ笑ひ声が、恰度、合唱のやうに一勢に挙つた...
牧野信一 「ゾイラス」
...写真入りで私がモスコーで「お蝶夫人」をうたう記事が出ていたので...
三浦環 「お蝶夫人」
...後者に署してある名の飛蝶は...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...まもなくお蝶の店にも幾人か客が加わって...
山本周五郎 「ちゃん」
...お蝶がそうしている時刻です...
吉川英治 「江戸三国志」
...お蝶はいまだに忘れません...
吉川英治 「江戸三国志」
...その蔦屋にかくれているお蝶さんていう娘に...
吉川英治 「江戸三国志」
...お蝶のかごの側で...
吉川英治 「江戸三国志」
...お蝶は、お角がお食べといって置いて行った金玉糖(きんぎょくとう)を口に入れて、クスッと笑いながら、炬燵(こたつ)の上へ顔を横にする...
吉川英治 「江戸三国志」
...「お蝶だ!」ムックリと身を起こしたのは案外体の小さい小童で...
吉川英治 「江戸三国志」
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