...一飛びに階段を三段ずつ蝗(いなご)のように登って来た...
芥川龍之介 「保吉の手帳から」
...まるで蝗(いなご)の足や羽根を毟(むし)ったように鉄製の胴だけが残っている...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...蝗を食べ過ぎたヨハネのやうに...
薄田泣菫 「茶話」
...・みんなもがれてこの柿の木は落葉するばかり・この山奥にも田があり蝗があそんでゐる・りんだうはつゝましく蔓草のからみつき・見はるかす野や街や雲かげのうつりゆくを十一月三日天地玲瓏として身心清明...
種田山頭火 「其中日記」
...蝗(いなご)に餌をやるの愚にひとしいよ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...蝗は何を目的として何物に導かれてどこからどこへ移動するか...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...蝗(いなご)と草の根によって露命をつないできたのだから...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...蝗(いなご)を捕まえるような手数がかかる...
中里介山 「大菩薩峠」
...「その時分の僕は随分悪(あく)もの食いの隊長で、蝗(いなご)、なめくじ、赤蛙などは食い厭(あ)きていたくらいなところだから、蛇飯は乙(おつ)だ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...蝗はとうとう流されていつたのであつた...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...尾に節ありて刺あるが鰕(えび)(または蝗(いなご))に似...
南方熊楠 「十二支考」
...小さな一疋の蝗のように清く瘠せた神聖な彼(か)の生きものの声は...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...草深い日本の暑い秋ぐちに肌白粉をふいてゐたパヴロアは膝の上にとまつた青い一匹の蝗に驚いたそれを窓口へすてたあとでどこか場末の興行でそれを見たことのあるのを思ひ出したそれは露西亜だつたか亜米利加だつたか倫敦だつたかそれとも避暑地の食堂で踊つたときだつたか思ひ出せなかつた...
室生犀星 「忘春詩集」
...飢餓蝗害(こうがい)の災厄も加わって...
吉川英治 「三国志」
...河原(かわら)のかげや草むらの中から蝗(いなご)のように...
吉川英治 「神州天馬侠」
...縄を攀(よ)じてポンポンと蝗(いなご)のようにおどり込んできた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...「野郎」「野郎」蝗(いなご)を退治るような衆の力で...
吉川英治 「宮本武蔵」
...数百千の男女はエジプトの野を覆うという蝗の群れのように動いている...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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