...いつもやかましく鳴続(なきつづ)ける蝉の声さえも...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...ある日蝉の声を耳にすると...
薄田泣菫 「独楽園」
...ばつたり風がなくなつて蝉の声すこし風が出てきて青蛙なく・あんなところに網を張り蜘蛛のやすけさは・あすは雨らしい空をいたゞく...
種田山頭火 「行乞記」
...ツクツクウシ」と云うほのかな秋蝉の声を聞いた...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...淋しい蝉の声が、木立の中に封じこまれていた...
豊島与志雄 「丘の上」
...聞くともなく蝉の声に耳をかしていた...
豊島与志雄 「反抗」
...東京の家に帰ったのは梅雨(つゆ)も過ぎて庭の樹に蝉の声を聞くころであった...
永井荷風 「十六、七のころ」
...二三日は朝から蝉の声が聞(きこ)える様になつた...
夏目漱石 「それから」
...旅人よ路を急げと海べをくれば波の音野末をゆけば蝉の声……妹 わたしはあんとき泥棒をうまくつくつたわね...
新美南吉 「ラムプの夜」
...しかしこの盛な蝉の声も実は草枯れる秋の季節の訪れを立証する外の何物でもないといふので...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...裏山に帰らぬ夏を呼ぶ声の侮り難しあきらめぬ蝉これは良人を失つた年の初秋相州吉浜の真珠菴で盛な蝉の声を聞きながら、自分も諦めきれないでゐるが、あの蝉の声は、同じく返らぬ夏を呼んで居るのだが、あの何物も抑へ難い逞しさはどうであらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...蝉の声が此処を先途と鳴り響いて...
牧野信一 「創作生活にて」
...蝉の声は喧(やかま)しいが...
牧野信一 「眠い一日」
...蝉の声が耳を塞(ふさ)ぎたい程やかましく聞える...
森鴎外 「カズイスチカ」
...これだけ見ると蝉の声は比較的自由だから...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...山の中で蝉の声一つしない...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
...もう蝉の声がする暑さであるが...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...ものうい初蝉の声をよそに...
吉川英治 「平の将門」
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