...あれは蝉じゃないですよ...
梅崎春生 「桜島」
...私は力をこめて掌の蝉を握りしめると...
梅崎春生 「桜島」
...蟻の道なしの種より続きけり 小濱清蟻の道西瓜皮から続きけり 弓山蟻の道蝉の殻より続きけり 痴朗蟻の道蛾の骸(むくろ)より続きけり 吟波の類(たぐい)であります...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...・泣いてはなさない蝉が鳴きさわぐ・何やら鳴いて今日が暮れる・水瓜ごろりと垣の中・虫のゆききのしみじみ生きてゐる□・朝の木にのぼつてゐる七月廿三日土用らしい土用日和である...
種田山頭火 「行乞記」
...米 一升二合朝月暈をきてゐる今日は逢へる朝風へ蝉の子見えなくなつた朝月にしたしく水車ならべてふむ・水が米つく青葉ふかくもアンテナ夾竹桃赤く女はみごもつてゐた合歓の花おもひでが夢のやうに・柳があつて柳屋といふ涼しい風汗はしたゝる鉄鉢をさゝげ見まはせば山苺の三つ四つはあり・鉄鉢の暑さをいたゞく・蜩よ...
種田山頭火 「行乞記」
...淋しい蝉の声が、木立の中に封じこまれていた...
豊島与志雄 「丘の上」
...秋蝉(あきぜみ)の鳴きしきる声は...
永井荷風 「榎物語」
...梢のいたく枯燥せるが如きをみる油蝉乏しく松に鳴く聲も暑きが故に嗄れにけらしもいづれの病棟にもみな看護婦どもの其詰所といふものゝ窓の北蔭にさゝやかなる箱庭の如きをつくりてくさ/″\の草の花など植ゑおけるが...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...松蝉(まつぜみ)は鳴(な)きやみました...
新美南吉 「花のき村と盗人たち」
...いまだに油蝉(あぶらぜみ)の声を聞いた...
水上滝太郎 「果樹」
...ひと聲蝉の鳴き出る聲を聞いた...
三好達治 「艸千里」
...空蝉は待っていたようにきびしい小言(こごと)を言った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...彼の頭の上には真夏の青空がシーンと澄み渡って蝉の声さえ途絶(とだ)え途絶えている...
夢野久作 「笑う唖女」
...わたしの家(いへ)の蝉(せみ)の音(ね)が最初の口火...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...しゆと水晶の珠数(じゆず)を鳴らす蝉(せみ)...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...貂蝉をこの呂布に与えると約束しておきながら...
吉川英治 「三国志」
...それも覚えたか』この老蝉と幼蝉が...
吉川英治 「田崎草雲とその子」
...鳥羽院の蝉折(せみおり)とか...
吉川英治 「宮本武蔵」
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