...詩が内容の上にも形式の上にも長い間の因襲を蝉脱(せんだつ)して自由を求め...
石川啄木 「弓町より」
...私はよく蝉の木彫をつくる...
高村光太郎 「蝉の美と造型」
...蝉がなき鶯がなく...
種田山頭火 「行乞記」
...・かどは食べものやで酒もある夾竹桃・夜風ふけて笑ふ声を持つてくる悼 緑石二句波のうねりを影がおよぐよ夜蝉がぢいと暗い空追加数句・日ざかりのながれで洗ふは旅のふんどし・いろ/\の事が考へられる螢とぶ・なんといつてもわたしはあなたが好きな螢(ホウタル)七月廿二日昼も暑く夜も暑かつた...
種田山頭火 「行乞記」
...……・蝉の声はたえずしてきりぎりす・むしあつく鴉の声は濁つてゐる窓へもからんで糸瓜がぶらりと・風の雀がとまらうとする竹がゆらいで・ゆふ風によみがへり草も虫も・暮れると出てくる油虫だけ七月十八日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...初めはただ、葦の茂みをさらさらと渡る凉風だったが、それに気付いて見廻すと、空の色、海の色、蝉の声、虫の声、凡てが秋の気を帯びていた...
豊島与志雄 「初秋海浜記」
...最後に時々蝉から小便をかけられる危険がある...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...もう春蝉(はるぜみ)が鳴(な)いていました...
新美南吉 「牛をつないだ椿の木」
...点景として蝉を添へたのだ...
牧野信一 「蝉」
...また蝉(せみ)とりをして日に焼けました...
槇本楠郎 「黒んぼ会」
...百花園の末枯れた蓮池の畔を歩いていた頃から大分空模様が怪しくなり、蝉の鳴く、秋草の戦ぐ夕焼空で夏の末らしい遠雷がしていた...
宮本百合子 「九月の或る日」
...源氏は自分に対して空蝉の冷淡なのは恨めしいが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...空蝉(うつせみ)の尼君には青鈍(あおにび)色の織物のおもしろい上着を見つけ出したのへ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ただ表の植込みから蝉(せみ)の声が降るように聞こえて来るばかりなので...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...満潮(みちしほ)どきの海鳴りのごと蝉の鳴く...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...紅牙(コウガ)催拍(サイハク)シテ燕ノ飛ブコト忙(セワ)シ一片ノ行雲(コウウン)画堂(ガドウ)ニ到ル眉黛(ビタイ)促(モヨオ)シテ成ス遊子ノ恨ミ臉容(レンヨウ)初(ハジ)メテ故人ノ腸(ハラワタ)ヲ断ツ楡銭(ユセン)買ワズ千金ノ笑柳帯(リュウタイ)ナンゾ用イン百宝ノ粧(ヨソオ)イ舞(マイ)罷(ヤ)ミ簾(レン)ヲ隔テテ目送スレバ知ラズ誰カコレ楚(ソ)ノ襄王(ジョウオウ)眼を貂蝉のすがたにすえ...
吉川英治 「三国志」
...「貂蝉はもう昨夜かぎりで...
吉川英治 「三国志」
...「貂蝉よ、貂蝉よ」彼は今も、よくそこの閨園(けいえん)では呼んでいる...
吉川英治 「三国志」
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