...ひょいと立上って蛍籠を外すと...
泉鏡花 「婦系図」
...幹々の奥の薄暗がりを蛍に似た発光体がすいすいと飛んだ...
梅崎春生 「日の果て」
...木の形変りし闇(やみ)や蛍狩(ほたるがり)山と藪(やぶ)相迫りつつ蛍狩提灯(ちょうちん)を借りて帰りぬ蛍狩提灯をさし出し照す蛍沢七月十六日 在小諸、沢の蛍狩...
高浜虚子 「六百句」
...団扇(うちわ)で彼方此方と蛍を追うところに風情(ふぜい)があるのだと...
谷崎潤一郎 「細雪」
...あの小川のほとりではあれらの蛍が一と晩じゅう音もなく明滅し...
谷崎潤一郎 「細雪」
...昨夜の蛍狩の話など...
谷崎潤一郎 「細雪」
...蛍の死んだのはお捨てになったらいけませんよ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...それからひとしきり庭で蛍を追い廻した...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...月の前の蛍のようなものだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...蛍光灯が二組差し向けられ...
中谷宇吉郎 「壁画摸写」
...「蛍(ほたる)てえものは...
夏目漱石 「それから」
...うす暗い蛍光燈で快適ぢゃない...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...蛍の出はじめたころの或る夕暮時に...
牧野信一 「鬼涙村」
...雛(ひな)祭る都はづれや桃の月 蕪村しのゝめに小雨降り出す焼野かな 同狩衣(かりぎぬ)の袖の裏這ふ蛍かな 同春(うすづく)や穂麦が中の水車 同欠け/\て月もなくなる夜寒かな 同鶯の鳴くや師走(しわす)の羅生門 同たんぽゝの忘れ花あり路の霜 同というように...
正岡子規 「俳句上の京と江戸」
...その隙間(すきま)から蛍(ほたる)以上にかすかな灯(ひ)の光が見えた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...群毎にひたと寄りこぞりて飛び行く蛍は...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...「この打水(うちみず)したあとへ、蛍が飛んだら、どんなに涼しかろ...
吉川英治 「黒田如水」
...蛍火が、絶入るばかりに蒼白かったせいか、その美しい貌(かお)だちをもった、まだ十七八の少女の顔が、殊更(ことさら)、抜けるように白く見え、その滑かな額には、汗のような脂(あぶら)が浮き、降りかかった断髪が、べっとりと附(くっ)ついていた...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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