...虻(あぶ)と蚋(ぶよ)とは自然の斥候(せっこう)のようにもやもやと飛び廻った...
有島武郎 「カインの末裔」
...この安東氏を病院へ収容した上でのことにしましょう」虻熊課長はそういって...
海野十三 「心臓盗難」
...つまり虻蜂取らずの無頼漢になり終ってしまわねばならぬ...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...二「落ちざまに虻(あぶ)を伏せたる椿(つばき)かな」漱石先生の句である...
寺田寅彦 「思い出草」
...大きな牛虻が来る、小形の虻も二、三種ある...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...蜘蛛(くも)の巣に引っ掛った虻(あぶ)のようにされて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ときどき生き残った虻(あぶ)が外(そ)れ弾(だま)のように飛んでくる陽気でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何かの役に立ちますかえ」懐中煙草が一つ――印伝(いんでん)の叺(かます)に赤銅(しゃくどう)の虻(あぶ)の金具を付けた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大山は大声で逃げ去った虻に...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...虻(あぶ)が追いかけて来た...
本庄陸男 「石狩川」
...そは虻や蠅を吃(く)いに馬厩(うまや)に近づくを見て謬(あやま)り言うのだろう...
南方熊楠 「十二支考」
...虻は知らず知らず又羽根をつツ立てた...
室生犀星 「星より來れる者」
...虻はどうしても上の方へ来ません...
夢野久作 「虻のおれい」
...大正元年〔無題〕虻のうなりか...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...憎げなる虻一つ昼の光に唸るのみ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...「この虻(あぶ)め...
吉川英治 「三国志」
...虻(あぶ)のかすかな羽うなりも鼓膜(こまく)にひびくような春昼(しゅんちゅう)である...
吉川英治 「親鸞」
...牛どもは勝ち誇った水の虻の軍勢の下で...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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