...白の耳の底にはいまだに黒の鳴き声が虻(あぶ)のように唸(うな)っているのです...
芥川龍之介 「白」
...虻(あぶ)澄みてつつと移りて又澄みぬ十一月十一日 二百二十日会...
高浜虚子 「六百句」
...そんな重大な役目を他人のために勤めたとは夢にも知らない虻は...
寺田寅彦 「沓掛より」
...余はさながら虻(あぶ)の様に...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...目につく一枝――蕾から咲き出たばかりでまだ蜂も虻もとまったことのない美しい花の一枝を...
豊島与志雄 「三つの悲憤」
...青木健作氏の「虻(あぶ)」抔(など)は好例である...
「長塚節氏の小説「土」」
...虻が一匹鼻面にとまつたのを大騒ぎして...
牧野信一 「剥製」
...」「虻色の翼をもつた God Honsu がナイルの上流で探し索めた Osiris の花をくはへてオリンピアの上空に現れた時のやうに...
牧野信一 「ファティアの花鬘」
...弓はひき絞られて虻のような声をして風に唸っていた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「約束」
...かつて予が『太陽』に載せた猫一疋より大富となった次第また『宇治拾遺』の藁一筋虻(あぶ)一疋から大家の主人に出世した物語なども逓累譚を基として組み上げた物だ...
南方熊楠 「十二支考」
......
三好達治 「間花集」
...虻は嬉しかつた...
室生犀星 「星より來れる者」
...虻(あぶ)に手斧(ちょうな)といったような死の予言の話なども...
柳田国男 「海上の道」
...どうしたものか虻は又あわて出してブルブルと飛ぶ拍子に水の中へ落ち込んでしまいました...
夢野久作 「虻のおれい」
...とうとう虻をタタキ落として追っかけてゆきました...
夢野久作 「虻のおれい」
...その時にチエ子さんはお縁側を見ると一匹の虻が死んで落ちておりました...
夢野久作 「虻のおれい」
...憎げなる虻一つ昼の光に唸るのみ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...虻(あぶ)のかすかな羽うなりも鼓膜(こまく)にひびくような春昼(しゅんちゅう)である...
吉川英治 「親鸞」
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