...裸の男にたからうとする虻(あぶ)や蠅を追つてゐたが...
芥川龍之介 「酒虫」
...蜜(みつ)に酔(よ)って飛びも出来ない虻(あぶ)の羽音(はおと)を聞いていると...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...這入(はい)りたる虻(あぶ)にふくるる花擬宝珠(はなぎぼし)炎天の空美しや高野山(こうやさん)昭和五年七月十三日旭川(きょくせん)...
高浜虚子 「五百句」
...ぼうたんに風あり虻(あぶ)を寄らしめず四月二十五日 即事...
高浜虚子 「六百句」
...あの「不意に虻(あぶ)を叩き殺す牛のしっぽ」を持っていたのでした...
太宰治 「人間失格」
...虻の尻がその囲みを破って...
寺田寅彦 「沓掛より」
...使い残りの紅皿を姉にねだって口のはたを染めながら皿のふちに青く光る紅を溶(とか)して虻(あぶ)や蜻蛉(とんぼ)の絵をかいた...
中勘助 「折紙」
...松虫草のなかをゆくと虻の群が一斉に羽音をたてて飛びあがる...
中勘助 「島守」
...かつ永くする虻(あぶ)のつとめを果したる後...
夏目漱石 「草枕」
...虻(あぶ)が一匹...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...虻(あぶ)が障子の間へ入つたやうな...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...壁に鼻ぶちつけて虻が血を流してゐる...
北條民雄 「頃日雑記」
...臭気をかぎつけた虻(あぶ)が頭上を舞っていた...
本庄陸男 「石狩川」
...また東風(こち)菫(すみれ)蝶(ちょう)虻(あぶ)蜂孑孑(ぼうふら)蝸牛(かたつむり)水馬(みずすまし)虫(まいまいむし)蜘子(くものこ)蚤(のみ)蚊(か)撫子(なでしこ)扇燈籠(とうろう)草花 火鉢炬燵(こたつ)足袋(たび)冬の蠅(はえ)埋火(うずみび)等はその繊細なる者なり...
正岡子規 「俳諧大要」
...かつて予が『太陽』に載せた猫一疋より大富となった次第また『宇治拾遺』の藁一筋虻(あぶ)一疋から大家の主人に出世した物語なども逓累譚を基として組み上げた物だ...
南方熊楠 「十二支考」
...大神ゼウス虻(あぶ)を放ちて馬を螫(さ)さしめ...
南方熊楠 「十二支考」
...虻は狂いまわってビンのガラスのアッチコッチへぶつかりながら...
夢野久作 「虻のおれい」
...虻(あぶ)に取り巻かれているように耳にうるさかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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