...虻蜂(あぶはち)とらずの歎(たん)を招くは...
芥川龍之介 「雑筆」
...虻(あぶ)やその他の虫と戦ひつゞけてゐるのだ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...烏啼の仕業と判断せられたわけですな」捜査課長の虻熊(あぶくま)警視が挨拶をした...
海野十三 「心臓盗難」
...熊も居ず、猿も居ず、鹿も居ず、僅に兎と雉と蝮と蛙と馬追とこほろぎと岩蟲と女の兒の頭と襟とに住む虱と、道路の捨石の下にまで住む蚤と、何處の家の食膳にも止まる蠅と、虻と、笹でうまつてゐる海岸の切岸に住む雀と、山の岩で數町さきの異性と鳴き交はす鳶と、濱に來て犬をからかふ烏と、魚賣の手に寄生する水蟲と、人の數に匹敵する猫とその猫の取りきることの出來ない鼠と、まづその位の動物しか人間以外にはゐない處です...
江南文三 「佐渡が島から」
......
谷譲次 「踊る地平線」
...二「落ちざまに虻(あぶ)を伏せたる椿(つばき)かな」漱石先生の句である...
寺田寅彦 「思い出草」
...すなわち虻を伏せやすくなるのである...
寺田寅彦 「思い出草」
...虻の尻(しり)がちょうどおしべの束の内向きに曲がった先端の彎曲部(わんきょくぶ)に引っかかり...
寺田寅彦 「沓掛より」
...何かの役に立ちますかえ」懐中煙草が一つ――印伝(いんでん)の叺(かます)に赤銅(しゃくどう)の虻(あぶ)の金具を付けた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...虻の野郎がよ」大山の子が学校から帰って来た...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...「虻」とするよりも私はむしろ「壁」にしたい...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...翅音(はおと)をたてて舞っている眼の先の虻(あぶ)を眺めていたが...
牧野信一 「ゼーロン」
...中空に小さな虻をふき...
牧野信一 「雪景色」
...そのとき初めて虻はすつかり廣がり切つた自分の羽根を樂しげに顧みたのである...
室生犀星 「星より來れる者」
...チエ子さんはすぐに走って行ってその瓶を取り上げて、口のところからのぞきながら、「虻さん虻さん、どうしたの」と言いました...
夢野久作 「虻のおれい」
...虻は朽木のうろなどに冬を隱れてゐるものだが...
横瀬夜雨 「春」
...また虻(あぶ)が啼(な)く昼さがり...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...悪い虻を追い払ってくれるのだ...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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