...日頃に似合わず虚無的な影に怯えているらしいことを案じて彼の邸まで送って来たのである...
海野十三 「地球発狂事件」
...れいの虚無的なるぶらりぶらりの歩き方をも体得して居た筈でありますし...
太宰治 「女の決闘」
...たとえばある一人の虚無的な思想をもった大学生に高利貸しの老婆を殺させる...
寺田寅彦 「科学と文学」
...この虚無的な変りようには駭(おどろ)かずにはいられなかった...
徳永直 「冬枯れ」
...やがて一種虚無的なケオスを造り出す...
戸坂潤 「思想としての文学」
...トルストイの虚無的な憐憫(れんびん)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...私からお願いいたします」虚無的な岡崎十次郎がこんな事をいうのですから...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...虚無的な光さえ宿っているのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そのくせ残酷で猛烈で虚無的な響さえ持って居りました...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...「ロシア人は虚無的な思想がどこから来るのか諒解するのに疲れている...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...手はなかろう」虚無的なことをいって...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...虚無的な刹那的な官能のなかに...
宮本百合子 「新しい文学の誕生」
...私はこの死骸の堡塁の中で、曾ての中学時代に陥った記憶のある、あの虚無的な、底抜けの懐疑感の中へ今一度、こうして深々と陥(は)まり込んでしまったのであった...
夢野久作 「戦場」
...このような眼でこそ色即是空というような虚無的な思想が生れたのであろう...
横光利一 「欧洲紀行」
...桃の花だけにたりと笑っている虚無的な風景が泛んで来た...
横光利一 「旅愁」
...よほど変った虚無的な...
横光利一 「旅愁」
...虚無的なやけ酒があるだけだった...
吉川英治 「私本太平記」
...どこか虚無的な影が拭いきれていなかった...
吉川英治 「平の将門」
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