...日頃に似合わず虚無的な影に怯えているらしいことを案じて彼の邸まで送って来たのである...
海野十三 「地球発狂事件」
...たとえばある一人の虚無的な思想をもった大学生に高利貸しの老婆を殺させる...
寺田寅彦 「科学と文学」
...この虚無的な変りようには駭(おどろ)かずにはいられなかった...
徳永直 「冬枯れ」
...やがて一種虚無的なケオスを造り出す...
戸坂潤 「思想としての文学」
...自分の虚無的な頽廃的な気分に甘えたことがあった...
豊島与志雄 「ふざけた読書」
...かういふ虚無的なやうな...
中里介山 「大菩薩峠」
...生きながら骨を南海の風雨に曝(さら)しているとでもいった虚無的な人間...
中島敦 「光と風と夢」
...私からお願いいたします」虚無的な岡崎十次郎がこんな事をいうのですから...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...虚無的な光さえ宿っているのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その純情で虚無的な點や...
萩原朔太郎 「中原中也君の印象」
...いくぶん虚無的な...
原民喜 「滑走」
...メロドラマ的な空想を熱情的にかきたてる虚無的なロシア人の血が通っているからです...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...此の虚無的な精神は悪へのみの加担者ではない...
松永延造 「職工と微笑」
...多くの天才は悪魔的なもの、廃頽的なもの、虚無的なもの、神経的なもの、時としては醜悪なものにさえ、美の対象を求めました...
柳宗悦 「民藝の性質」
...そしていくらか虚無的な笑いをうかべた...
山本周五郎 「青べか物語」
...私はこの死骸の堡塁の中で、曾ての中学時代に陥った記憶のある、あの虚無的な、底抜けの懐疑感の中へ今一度、こうして深々と陥(は)まり込んでしまったのであった...
夢野久作 「戦場」
...このような眼でこそ色即是空というような虚無的な思想が生れたのであろう...
横光利一 「欧洲紀行」
...そういう虚無的な人間も...
吉川英治 「宮本武蔵」
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