...聖フランシスは世間的な歡樂の中に空虚を感じて出離を要求せずにはゐられなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...彼女はむづかしい顔をした虚弱な女で典型的な五十年以前のニユウ・イングランドの女教師だつた...
エマ・ゴオルドマン 伊藤野枝訳 「死んだ魂」
...人に虚僞を強ひてゐるのでなければ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...十二月十一日漱石虚子様横顔の歌舞伎に似たる火鉢哉炭団いけて雪隠詰の工夫哉御家人の安火を抱くや後風土記追分で引き剥がれたる寒かな正当時の寓居は熊本市内坪井町七八とある...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...「虚構の彷徨(ほうこう)」という私の第二創作集に...
太宰治 「小さいアルバム」
...実と虚と相接するところに虚実を超越した真如(しんにょ)の境地があって...
寺田寅彦 「映画雑感(※[#ローマ数字7、1-13-27])」
...時に又その反対物として虚偽意識である...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...自由自在な空虚を...
豊島与志雄 「水甕」
...少し虚弱で弱気ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何かこう虚無的になった捨鉢な諦めを感じさせる男です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...虚偽の大事な証拠なのである...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...美は虚であり詩は虚である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...――舞台空虚のまま暫く間……)(幕)7 花道だけで前場の幕が降りるとすぐ起る夏祭の囃子鳴物...
三好十郎 「斬られの仙太」
...虚弱者としてとりあつかはれてをり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...その質素な謙虚な性質の価値は見直されていいのです...
柳宗悦 「民藝の性質」
...「おことばですが」と、関羽は、その言をさえぎって、「峠に火煙(かえん)をあげなば、せっかく、落ちのびて来た曹操も、道に敵あることを覚り、ほかへ方角を変えて逃げ失せはいたすまいか」「否々」孔明は、わらって、「兵法に、表裏と虚実あり、曹操は元来、虚実の論にくわしき者...
吉川英治 「三国志」
...虚脱の色にまみれ...
吉川英治 「私本太平記」
...「多少、江戸表にも、心のひかれることがない身ではござらぬが、果てしのない凡情の延長へ辿(たど)ってゆくより、むしろこのまま帰府を断念して、元の虚無僧、一管の竹笛(ちくてき)に余生を任して旅に終るほうが、自由で本望に思われます...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索