...わが生活の虚偽残酷(きょぎざんこく)にあきれてしまった...
伊藤左千夫 「奈々子」
...鼻持ちならぬキザな虚栄の詠歎に似るおそれもあり...
太宰治 「父」
...眼の前の書類は全部片付け終ったがそのまま空になった未決の籠を眺めて茫然(ぼんやり)と椅子の肘に頬杖突きながら空虚(うつろ)のような眼を瞠(みは)っていた私の前に...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...虚空を掴(つか)み歯をくいしばっていたが...
田中貢太郎 「円朝の牡丹燈籠」
...元来彼女はそうした虚栄心の芽のあった女ではある...
田中英光 「野狐」
...文展で評判の好かつた不折(ふせつ)の「陶器つくり」の油繪、三千里の行脚(あんぎや)して此處にも滯留した碧梧桐「花林檎」の額、子規、碧、虚の短册、與謝野夫妻、竹柏園社中の短册など見た...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...虚をつかれた感じだった...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...虚勢を張らねばならなかった...
豊島与志雄 「牛乳と馬」
...頭が一切空虚なので格別に感じやう筈もなかつたが...
長塚節 「竹の里人〔一〕」
...「虚無僧の隱れるやうな穴なんか無い筈だよ」「へエ――」「それより手前(てめえ)は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...しかもなお、わずか五十年というが如き短期間にして、現在の社会状態を堕落させ泣かせている暴力、圧迫、虚偽、窮乏、あらゆる悪むべき原罪とあらゆる種類の困厄とが、最も切迫せる事情により、人性に固有にして一切の人間の規制とは絶対に無関係な法則によって、発生するに至るように思われる...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...「虚言(うそ)を衝(つ)け」と...
森鴎外 「渋江抽斎」
...が、その死と云うひろがりの、空虚ななかに、未知の手紙の男の姿がはっきりと、幻覚となって現れるのであった...
山本禾太郎 「仙人掌の花」
...具体的に証明したいばっかりの一片の虚構に過ぎなかったのであったが...
夢野久作 「少女地獄」
...空虚な瞳(め)を据えて……...
夢野久作 「冗談に殺す」
...この空虚が鼻の表現に顕われて...
夢野久作 「鼻の表現」
...孔明はいたずらに虚名を売り...
吉川英治 「三国志」
...虚を衝かれたため...
吉川英治 「三国志」
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