...蘆(あし)や白楊(ポプラア)や無花果(いちじゅく)を彩(いろど)るものは...
芥川龍之介 「沼地」
...蘆荻の中から鴫らしい鳥が二羽...
石川啄木 「札幌」
...その麓(ふもと)まで見通しの、小橋(こばし)の彼方(かなた)は、一面の蘆で、出揃(でそろ)って早(は)や乱れかかった穂が、霧のように群立(むらだ)って、藁屋(わらや)を包み森を蔽(おお)うて、何物にも目を遮(さえぎ)らせず、山々の茅(かや)薄(すすき)と一連(ひとつら)に靡(なび)いて、風はないが、さやさやと何処(どこ)かで秋の暮を囁(ささや)き合う...
泉鏡花 「海の使者」
...蘆の間に忽然(こつぜん)と姿を隠した...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...」本屋の主人は眼を円くして蘆花君の顔を見た...
薄田泣菫 「茶話」
...この淀川のきしをぬってすすむかいどうは舟行(しゅうこう)には便利だったであろうが蘆荻(ろてき)のおいしげる入り江や沼地が多くってくがじの旅にはふむきであったかも知れない...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...蘆屋の家の隣家、と云うよりは背中合せの庭つづきになっている家に、半年ほど前からシュトルツと云う独逸(ドイツ)人の一家が移って来て住んでいた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...何しろ蘆屋の旧国道は...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...羞渋(はにか)んで逃げて行くか知らん?………蘆屋の時代に...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...ふたゝびこゝで白髪を剃るどうでもこゝにおちつきたい夕月・朝風の青蘆を切る□・これだけ残つてゐるお位牌ををがむ□・あるだけの酒のんで寝る月夜・吠えてきて尾をふる犬とあるく・まとも一つの灯はお寺昨夜は幾夜ぶりかでぐつすり眠つたが...
種田山頭火 「行乞記」
...その男に『蘆が島(リードアイランド)』もしくは『蘆(あし)の家』を知っているか...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...□□蘆荻一群鴎...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...されど其曲はさゞめきの声のごとくそよ風遠く蘆のしげみを渡りつゝ塒(ねぐら)の禽をさまさじと気づかふ如くしめやかなりき...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...蘆の細茎の一すぢは過ぎし日かつてわれをして深き林にも歌うたはしめき...
永井荷風 「向嶋」
...わずかばかりの蘆の葉で支えられ...
久生十蘭 「泡沫の記」
...紅葉、露伴、逍遙、蘆花、漱石、独歩――これ等の作家のうちで、これこそ近代日本を代表する作家であるといへる人はない...
平林初之輔 「政治的価値と芸術的価値」
...手紙を書く時には蘆手(あしで)のような簡単な文章を上手に書き...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...」呼ばれた蘆売る男は停った...
室生犀星 「荻吹く歌」
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