...藪には今藪鶯(やぶうぐいす)がささやかな声に鳴いてる...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...まだ尾の生(は)えぬ時に生(い)け捕(ど)って来て別な師匠の鶯に附けて稽古させるのである尾が生えてからだと親の藪鶯の汚い声を覚えてしまうのでもはや矯正(きょうせい)することが出来ない...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...藪鶯がしきりに啼く...
種田山頭火 「道中記」
...庭の梅の雪とこぼるゝ辺(あたり)に耳珍しくも藪鶯(やぶうぐいす)の初音が響く...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...同人中の土居藪鶯氏から聞いて...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...藪鶯氏よりも先きへ亡った...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...南天の実のまだ青い手水鉢(ちょうずばち)のほとりに藪鶯(やぶうぐいす)の笹啼(ささなき)が絶間(たえま)なく聞えて屋根...
永井荷風 「狐」
...簪(かんざし)の玉のような白い花の咲く八ツ手の葉陰には藪鶯(やぶうぐいす)が笹啼(ささなき)している...
永井荷風 「写況雑記」
...手水鉢(ちょうずばち)のほとりには思いがけない椿の古木があって四十雀(しじゅうから)や藪鶯(やぶうぐいす)が来る...
永井荷風 「花火」
...鶺鴒(せきれい)四十雀(しじゅうから)藪鶯(やぶうぐいす)なぞ小鳥の声は春にもまして賑(にぎわ)し...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...まだ寒い早春の藪鶯の稚い声をきき...
中谷宇吉郎 「詩人への註文」
...その叢(くさむら)の中からは藪鶯がチヽ...
長與善郎 「青銅の基督」
...藪鶯(やぶうぐひす)が啼(な)き止んだぢやないか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...藪鶯(やぶうぐいす)だつて三下(さんさが)りぢや啼かねえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...寒竹の竹の子を抜きながらゆくと何処でか藪鶯(やぶうぐいす)が鳴いている...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...八月頃深い山路で耳にする藪鶯の響を思い出させた...
宮本百合子 「木蔭の椽」
...静かに聞えた藪鶯のホーホケキョ...
宮本百合子 「木蔭の椽」
...いくさやみぬ藪鶯(やぶうぐひす)も啼(な)き出でよ戦後の山村でこんな句を呟いた年の春から書き出して...
吉川英治 「随筆 新平家」
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