...竹藪は何時か雑木林になつた...
芥川龍之介 「トロツコ」
...一面に墓所と竹藪(たけやぶ)に取り囲まれて...
井上円了 「おばけの正体」
...これ程大きな切口を残す様な藪(やぶ)医者は何所(どこ)にもないのだ...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...黄熟した藪梅の実だ...
薄田泣菫 「独楽園」
...茄子の煮たの)・かあかあと鳴いたゞけで山の鴉はあえぎのぼる並木にはひでりのほこり・こんなに子供があつてはだかではいまはる・笠へ落葉の秋が来た・なんでもない道がつゞいて曼珠沙華・うらは蓮田できたなくてきやすい宿・旅の夜空がはつきりといなびかりする・ほんとうによい雨が裏藪の明ける音・今日の陽もかたむいたひよろ/\松の木追加・まんぢゆさけさきわたしの寝床はある(帰庵)九月十四日夜中に雨の音をきいた...
種田山頭火 「行乞記」
...竹藪の鳥渡(ちよつと)途絶(とだ)えた世離(よばな)れた静かな好い場所を占領して...
田山花袋 「朝」
...夜はいつものごとく竹藪(たけやぶ)の外に藁屋(わらや)の灯(あかり)の光がもれた...
田山花袋 「田舎教師」
...森だの藪地だのからは...
田山花袋 「トコヨゴヨミ」
...また土居藪鶯氏は...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...『藪柑子集』以来の三十年に近い先生の筆の力を必要としたのである...
中谷宇吉郎 「文化史上の寺田寅彦先生」
...藪睨(やぶにら)みから惚(ほ)れられたと自認している人間もある世の中だからこのくらいの誤謬(ごびゅう)は決して驚くに足らんと撫でらるるがままにすましていた...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...私が母家を離れて住んだことのある竹藪を背つた家の趾らしいあたりには...
牧野信一 「鱗雲」
...竹藪の蔭の井戸端に木蓮とコヾメ桜の老樹が枝を張り...
牧野信一 「るい」
...この医者大藪って貼紙して来てやろうか」Sさん...
宮本百合子 「金色の秋の暮」
...たしか背後を少しの竹藪(たけやぶ)で囲われて...
柳田国男 「海上の道」
...この藪の蔭でなにかがあったのだ、この藪や樹立や、冷たいこの土はそれを見ていたのだ、いったいどのようなことがあったのだろうか...
山本周五郎 「日本婦道記」
...山の肌を洗ひ、細い血管を傳つて、頂から麓へ、麓から谿間へ落ち込んで來る幾多の水、樹々の根元や、燒石の間へぷつ/\湧き出した小さな泉が、途を求め、藪をくぐつて、下へ/\と落ちて來た水、谿間の奧深くへ數年となく湛へてゐて、次第々々に周圍の草の根をひたし、立樹を枯らし、やがて、その白骨のやうな立枯れた巨木をも水底へ沈めてしまひ、上へ上へと登つて來て、山の出鼻を包み、岩角を沒し、林といふ林を眼にも附かないくらゐ徐々として下から呑んでしまひ、そして一樣に、何處をも平らかな水の野原としてしまつた湖水の水、その水も一箇所山の間に缺所を求めると、四里にも餘る一圓の水が俄に色めき立ち、騷ぎ立ち、殺氣を帶んで來て、爭つてその一箇所の方へ向つて急ぎ出す...
吉江喬松 「霧の旅」
...はやく裏藪(うらやぶ)へ身をかくせ」道三秀龍の側衆たちである...
吉川英治 「新書太閤記」
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