...六珊瑚樹垣(さんごじゅがき)の根には蕗(ふき)の薹(とう)が無邪気に伸びて花を咲きかけている...
伊藤左千夫 「春の潮」
...梅の下には蕗(ふき)の薹(とう)が丈高くのびて白い花が見えた...
伊藤左千夫 「守の家」
...つまりは八瀬の蕗の薹と同じように...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...同國道一日の通行馬車は約二千六百薹に上る...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...その頃の相場では少し薹(とう)が立ちましたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...三十過ぎての厚化粧三昧だ」「――」「そのうちに薹(たう)の立つた美男――佐野松が嫌になつた...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
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原民喜 「かげろふ断章」
...すこし薹(とう)のたったお嬢さんと二人でフラリとこのホテルへやって来て沼間夫人を驚かした...
久生十蘭 「キャラコさん」
...池のはたに出ていた蕗(ふき)の薹(とう)がのびだした...
本庄陸男 「石狩川」
...蕗(ふき)の薹(とう)とつくしが水の下に沈んだ...
本庄陸男 「石狩川」
...右のフキの薹は普通のフキのものと同形で...
牧野富太郎 「植物記」
...それを一日でも早く市場へ出そうという考えから、長日性である大根を、すでに五月上旬頃から播き付け、もちろん抽薹しますが、抽薹すれば、わざわざその薹軸を折り取り、なおかつ硬化したその大根の上部をも切取って、漬け込むといったような、いかにも無理の籠った産業は、私は遺憾ながら、それを安全な産業として賛成し奨励申上げることができないのでございます...
三澤勝衛 「自力更生より自然力更生へ」
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三好達治 「一點鐘」
...先日八百屋(やおや)が蕗(ふき)の薹(とう)を持って来ましたから一度に沢山蕗味噌(ふきみそ)を拵えておきました...
村井弦斎 「食道楽」
...フクタチ茎立(くきだち)すなわち蔬菜の春になって薹(とう)に立つことであるが...
柳田國男 「食料名彙」
...コートは蕗(ふき)などの薹(とう)のことだから...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...これは蕗(ふき)の薹(とう)でございますよ」「しかし似てはいるでしょう」「なんにですか」「もちろん薺にですよ」「わたくしをからかっていらっしゃるのね」つなは怒ってそっぽを向いた...
山本周五郎 「風流太平記」
...さびしい薹(とう)が立ってきたのを語るものである...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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