...よき薫物(たきもの)たきて一人臥(ふ)したる...
太宰治 「めくら草紙」
...真珠の簾を垂れた窓からは薫物(たきもの)や香油の匂いがむせるようにもれてきた...
田中貢太郎 「賈后と小吏」
...いとよろしき女が少女を伴れて薫物(たきもの)を買いに来た...
田中貢太郎 「蛇性の婬」
...彼女の衣の薫物(たきもの)の香も左大臣の席へ匂っているに違いない...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...あの黒方(くろほう)と云う薫物(たきもの)...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...野老(ところ)や合薫物(あわせたきもの)を甘葛(あまずら)の汁で煉り固めて...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...あのかぐわしい薫物(たきもの)の匂の感覚とに過ぎなかった...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...母が常に薫(た)きしめていた薫物(たきもの)の香が...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...私たちはただいつとはなしに隙をもれてくる薫物のかをりによつてそこに石のごとくにしづまりかへつた人のゐることを知るばかりであつた...
中勘助 「銀の匙」
...衣服の持つ薫物(たきもの)の香が流れてきた時に気づいて女は顔を上げた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...白い扇を色のつくほど薫物(たきもの)で燻(くゆ)らしたのを渡した...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...薫物(たきもの)が煙いほどに焚(た)かれていて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...薫物(たきもの)の香が風について吹き通う艶(えん)なお住居(すまい)である...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...用箋(ようせん)は薫物(たきもの)の香を沁(し)ませた唐紙(とうし)である...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...梅花の香(かおり)も御簾(みす)の中の薫物(たきもの)の香と紛らわしく漂っていて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...薄青色の唐紙の薫物(たきもの)の香を深く染(し)ませたのを...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...木工(もく)の君は主人(あるじ)のために薫物(たきもの)をしながら言う...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...下は丁字(ちょうじ)染めのこげるほどにも薫物(たきもの)の香を染(し)ませた物や...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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