例文・使い方一覧でみる「薄馬鹿」の意味


スポンサーリンク

...新馬鹿大将というのと薄馬鹿大将というのと二様の名まえもこの小屋で覚えたが...   新馬鹿大将というのと薄馬鹿大将というのと二様の名まえもこの小屋で覚えたがの読み方
伊丹万作 「私の活動写真傍観史」

...「汝(いし)らに分るか、この薄馬鹿野郎...   「汝らに分るか、この薄馬鹿野郎の読み方
犬田卯 「米」

...そして薄馬鹿の置去り人(びと)のベン・ガンが始めから終りまでその主人公なのであった...   そして薄馬鹿の置去り人のベン・ガンが始めから終りまでその主人公なのであったの読み方
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」

...ただのべつ幕無しに人間の生活から逃げ廻ってばかりいる薄馬鹿の自分ひとりだけ完全に取残され...   ただのべつ幕無しに人間の生活から逃げ廻ってばかりいる薄馬鹿の自分ひとりだけ完全に取残されの読み方
太宰治 「人間失格」

...そして、もう此のくらいと思う時分に動物の真似を切り上げると、今度は酔いどれや、薄馬鹿や、座頭(ざとう)の真似をし出したので、忽ち新たな笑いの嵐がどよめき起った...   そして、もう此のくらいと思う時分に動物の真似を切り上げると、今度は酔いどれや、薄馬鹿や、座頭の真似をし出したので、忽ち新たな笑いの嵐がどよめき起ったの読み方
谷崎潤一郎 「武州公秘話」

...薄馬鹿(うすばか)のような奴を好いてウンと集まる...   薄馬鹿のような奴を好いてウンと集まるの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...その薄馬鹿を守り立てて...   その薄馬鹿を守り立てての読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...八人の若侍が薄馬鹿の重太郎を囲んでしきりに嘲弄(ちょうろう)しながら...   八人の若侍が薄馬鹿の重太郎を囲んでしきりに嘲弄しながらの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...大抵は薄馬鹿だの...   大抵は薄馬鹿だのの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...薄馬鹿見たいな顏をして立つて居りますが...   薄馬鹿見たいな顏をして立つて居りますがの読み方
野村胡堂 「錢形平次捕物控」

...薄馬鹿ときまつてゐるでせう」「大層覺(さと)つたことを言やがる」「竹松親分も言ひましたよ...   薄馬鹿ときまつてゐるでせう」「大層覺つたことを言やがる」「竹松親分も言ひましたよの読み方
野村胡堂 「錢形平次捕物控」

...薄馬鹿に定まってらあ...   薄馬鹿に定まってらあの読み方
長谷川時雨 「九条武子」

...私は殴られる相手として薄馬鹿な顔をしているのは沢山だ...   私は殴られる相手として薄馬鹿な顔をしているのは沢山だの読み方
林芙美子 「新版 放浪記」

...ああ面白くない、おもしろくない、あの人が来なければ幻燈をはじめるのも嫌、伯母さん此処(ここ)の家(うち)に智恵の板は売りませぬか、十六武蔵(むさし)でも何でもよい、手が暇で困ると美登利の淋しがれば、それよと即坐に鋏(はさみ)を借りて女子(おなご)づれは切抜きにかかる、男は三五郎を中に仁和賀のさらひ、北廓(ほくくわく)全盛見わたせば、軒は提燈(ちようちん)電気燈、いつも賑(にぎは)ふ五丁町、と諸声(もろごゑ)をかしくはやし立つるに、記憶(おぼえ)のよければ去年(こぞ)一昨年(おととし)とさかのぼりて、手振手拍子ひとつも変る事なし、うかれ立たる十人あまりの騒ぎなれば何事と門(かど)に立ちて人垣をつくりし中より、三五郎は居るか、一寸(ちよつと)来てくれ大急ぎだと、文次(ぶんじ)といふ元結(もとゆひ)よりの呼ぶに、何の用意もなくおいしよ、よし来たと身がるに敷居を飛こゆる時、この二タ股(また)野郎(やらう)覚悟をしろ、横町の面(つら)よごしめ唯(ただ)は置かぬ、誰れだと思ふ長吉だ生(なま)ふざけた真似をして後悔するなと頬骨(ほうぼね)一撃(うち)、あつと魂消(たまげ)て逃入る襟がみを、つかんで引出す横町の一むれ、それ三五郎をたたき殺せ、正太を引出してやつてしまへ、弱虫にげるな、団子屋の頓馬(とんま)も唯は置かぬと潮(うしほ)のやうに沸かへる騒ぎ、筆屋が軒の掛提燈は苦もなくたたき落されて、釣りらんぷ危なし店先の喧嘩なりませぬと女房が喚(わめ)きも聞かばこそ、人数(にんず)は大凡(おほよそ)十四五人、ねぢ鉢巻に大万燈ふりたてて、当るがままの乱暴狼藉(らうぜき)、土足に踏み込む傍若無人、目ざす敵(かたき)の正太が見えねば、何処へ隠くした、何処へ逃げた、さあ言はぬか、言はぬか、言はさずに置く物かと三五郎を取こめて撃つやら蹴(け)るやら、美登利くやしく止める人を掻(か)きのけて、これお前がたは三ちやんに何の咎(とが)がある、正太さんと喧嘩がしたくば正太さんとしたが宜い、逃げもせねば隠くしもしない、正太さんは居ぬでは無いか、此処は私が遊び処、お前がたに指でもささしはせぬ、ゑゑ憎くらしい長吉め、三ちやんを何故(なぜ)ぶつ、あれ又引たほした、意趣があらば私をお撃(ぶ)ち、相手には私がなる、伯母さん止めずに下されと身もだへして罵(ののし)れば、何を女郎め頬桁(ほうげた)たたく、姉の跡つぎの乞食め、手前(てめへ)の相手にはこれが相応だと多人数(おほく)のうしろより長吉、泥草履つかんで投つければ、ねらひ違(たが)はず美登利が額際にむさき物したたか、血相かへて立あがるを、怪我でもしてはと抱きとむる女房、ざまを見ろ、此方(こち)には龍華寺の藤本がついてゐるぞ、仕かへしには何時(いつ)でも来い、薄馬鹿野郎め、弱虫め、腰ぬけの活地(いくじ)なしめ、帰りには待伏せする、横町の闇(やみ)に気をつけろと三五郎を土間に投出せば、折から靴音たれやらが交番への注進今ぞしる、それと長吉声をかくれば丑松(うしまつ)文次その余(よ)の十余人、方角をかへてばらばらと逃足はやく、抜け裏の露路にかがむも有るべし、口惜しいくやしい口惜しい口惜しい、長吉め文次め丑松め、なぜ己れを殺さぬ、殺さぬか、己れも三五郎だ唯死ぬものか、幽(ゆうれい)になつても取殺すぞ、覚えてゐろ長吉めと湯玉のやうな涙はらはら、はては大声にわつと泣き出(いだ)す、身内や痛からん筒袖の処々引さかれて背中も腰も砂まぶれ、止めるにも止めかねて勢ひの悽(すさ)まじさに唯おどおどと気を呑(の)まれし、筆やの女房走り寄りて抱きおこし、背中(せな)をなで砂を払ひ、堪忍(かんにん)をし、堪忍をし、何と思つても先方(さき)は大勢、此方(こち)は皆よわい者ばかり、大人でさへ手が出しかねたに叶(かな)はぬは知れてゐる、それでも怪我のないは仕合(しあはせ)、この上は途中の待ぶせが危ない、幸ひの巡査(おまわり)さまに家まで見て頂かば我々も安心、この通りの子細で御座ります故(ゆゑ)と筋をあらあら折からの巡査に語れば、職掌がらいざ送らんと手を取らるるに、いゑいゑ送つて下さらずとも帰ります、一人で帰りますと小さく成るに、こりや怕(こわ)い事は無い、其方(そちら)の家(うち)まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで頭(つむり)を撫(な)でらるるに弥々(いよいよ)ちぢみて、喧嘩をしたと言ふと親父(とつ)さんに叱かられます、頭(かしら)の家は大屋さんで御座りますからとて凋(しほ)れるをすかして、さらば門口(かどぐち)まで送つて遣(や)る、叱からるるやうの事は為(せ)ぬわとて連れらるるに四隣(あたり)の人胸を撫でてはるかに見送れば、何とかしけん横町の角にて巡査の手をば振はなして一目散に逃げぬ...   ああ面白くない、おもしろくない、あの人が来なければ幻燈をはじめるのも嫌、伯母さん此処の家に智恵の板は売りませぬか、十六武蔵でも何でもよい、手が暇で困ると美登利の淋しがれば、それよと即坐に鋏を借りて女子づれは切抜きにかかる、男は三五郎を中に仁和賀のさらひ、北廓全盛見わたせば、軒は提燈電気燈、いつも賑ふ五丁町、と諸声をかしくはやし立つるに、記憶のよければ去年一昨年とさかのぼりて、手振手拍子ひとつも変る事なし、うかれ立たる十人あまりの騒ぎなれば何事と門に立ちて人垣をつくりし中より、三五郎は居るか、一寸来てくれ大急ぎだと、文次といふ元結よりの呼ぶに、何の用意もなくおいしよ、よし来たと身がるに敷居を飛こゆる時、この二タ股野郎覚悟をしろ、横町の面よごしめ唯は置かぬ、誰れだと思ふ長吉だ生ふざけた真似をして後悔するなと頬骨一撃、あつと魂消て逃入る襟がみを、つかんで引出す横町の一むれ、それ三五郎をたたき殺せ、正太を引出してやつてしまへ、弱虫にげるな、団子屋の頓馬も唯は置かぬと潮のやうに沸かへる騒ぎ、筆屋が軒の掛提燈は苦もなくたたき落されて、釣りらんぷ危なし店先の喧嘩なりませぬと女房が喚きも聞かばこそ、人数は大凡十四五人、ねぢ鉢巻に大万燈ふりたてて、当るがままの乱暴狼藉、土足に踏み込む傍若無人、目ざす敵の正太が見えねば、何処へ隠くした、何処へ逃げた、さあ言はぬか、言はぬか、言はさずに置く物かと三五郎を取こめて撃つやら蹴るやら、美登利くやしく止める人を掻きのけて、これお前がたは三ちやんに何の咎がある、正太さんと喧嘩がしたくば正太さんとしたが宜い、逃げもせねば隠くしもしない、正太さんは居ぬでは無いか、此処は私が遊び処、お前がたに指でもささしはせぬ、ゑゑ憎くらしい長吉め、三ちやんを何故ぶつ、あれ又引たほした、意趣があらば私をお撃ち、相手には私がなる、伯母さん止めずに下されと身もだへして罵れば、何を女郎め頬桁たたく、姉の跡つぎの乞食め、手前の相手にはこれが相応だと多人数のうしろより長吉、泥草履つかんで投つければ、ねらひ違はず美登利が額際にむさき物したたか、血相かへて立あがるを、怪我でもしてはと抱きとむる女房、ざまを見ろ、此方には龍華寺の藤本がついてゐるぞ、仕かへしには何時でも来い、薄馬鹿野郎め、弱虫め、腰ぬけの活地なしめ、帰りには待伏せする、横町の闇に気をつけろと三五郎を土間に投出せば、折から靴音たれやらが交番への注進今ぞしる、それと長吉声をかくれば丑松文次その余の十余人、方角をかへてばらばらと逃足はやく、抜け裏の露路にかがむも有るべし、口惜しいくやしい口惜しい口惜しい、長吉め文次め丑松め、なぜ己れを殺さぬ、殺さぬか、己れも三五郎だ唯死ぬものか、幽になつても取殺すぞ、覚えてゐろ長吉めと湯玉のやうな涙はらはら、はては大声にわつと泣き出す、身内や痛からん筒袖の処々引さかれて背中も腰も砂まぶれ、止めるにも止めかねて勢ひの悽まじさに唯おどおどと気を呑まれし、筆やの女房走り寄りて抱きおこし、背中をなで砂を払ひ、堪忍をし、堪忍をし、何と思つても先方は大勢、此方は皆よわい者ばかり、大人でさへ手が出しかねたに叶はぬは知れてゐる、それでも怪我のないは仕合、この上は途中の待ぶせが危ない、幸ひの巡査さまに家まで見て頂かば我々も安心、この通りの子細で御座ります故と筋をあらあら折からの巡査に語れば、職掌がらいざ送らんと手を取らるるに、いゑいゑ送つて下さらずとも帰ります、一人で帰りますと小さく成るに、こりや怕い事は無い、其方の家まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで頭を撫でらるるに弥々ちぢみて、喧嘩をしたと言ふと親父さんに叱かられます、頭の家は大屋さんで御座りますからとて凋れるをすかして、さらば門口まで送つて遣る、叱からるるやうの事は為ぬわとて連れらるるに四隣の人胸を撫でてはるかに見送れば、何とかしけん横町の角にて巡査の手をば振はなして一目散に逃げぬの読み方
樋口一葉 「たけくらべ」

...三五郎は居るか、一寸來くれ大急ぎだと、文次といふ元結よりの呼ぶに、何の用意もなくおいしよ、よし來たと身がるに敷居を飛こゆる時、此二タ股野郎覺悟をしろ、横町の面よごしめ唯は置かぬ、誰れだと思ふ長吉だ生ふざけた眞似をして後悔するなと頬骨一撃、あつと魂消て逃入る襟がみを、つかんで引出す横町の一むれ、それ三五郎をたゝき殺せ、正太を引出してやつて仕舞へ、弱虫にげるな、團子屋の頓馬も唯は置ぬと潮のやうに沸かへる騷ぎ、筆屋が軒の掛提燈は苦もなくたゝき落されて、釣りらんぷ危なし店先の喧嘩なりませぬと女房が喚きも聞かばこそ、人數は大凡十四五人、ねぢ鉢卷に大萬燈ふりたてゝ、當るがまゝの亂暴狼藉、土足に踏み込む傍若無人、目ざす敵の正太が見えねば、何處へ隱くした、何處へ逃げた、さあ言はぬか、言はぬか、言はさずに置く物かと三五郎を取こめて撃つやら蹴るやら、美登利くやしく止める人を掻きのけて、これお前がたは三ちやんに何の咎がある、正太さんと喧嘩がしたくば正太さんとしたが宜い、逃げもせねば隱くしもしない、正太さんは居ぬでは無いか、此處は私が遊び處、お前がたに指でもさゝしはせぬ、ゑゝ憎くらしい長吉め、三ちやんを何故ぶつ、あれ又引たほした、意趣があらば私をお撃ち、相手には私がなる、伯母さん止めずに下されと身もだへして罵れば、何を女郎(ぢよらう)め頬桁たゝく、姉の跡つぎの乞食め、手前の相手にはこれが相應だと多人數(おほく)のうしろより長吉、泥草鞋(ざうり)つかんで投つければ、ねらひ違はず美登利が額際にむさき物したゝか、血相かへて立あがるを、怪我でもしてはと抱きとむる女房、ざまを見ろ、此方には龍華寺の藤本がついて居るぞ、仕かへしには何時でも來い、薄馬鹿野郎め、弱虫め、腰ぬけの活地(いくぢ)なしめ、歸りには待伏せする、横町の闇に氣をつけろと三五郎を土間に投出せば、折から靴音たれやらが交番への注進今ぞしる、それと長吉聲をかくれば丑松文次その余の十餘人、方角をかへてばら/\と逃足はやく、拔け裏の露路にかゞむも有るベし、口惜しいくやしい口惜しい口惜しい、長吉め文次め丑松め、なぜ己れを殺さぬ、殺さぬか、己れも三五郎だ唯死ぬものか、幽異(いうれい)になつても取殺すぞ、覺えて居ろ長吉めと湯玉のやうな涙はら/\、はては大聲にわつと泣き出す、身内や痛からん筒袖の處々引さかれて背中も腰も砂まぶれ、止めるにも止めかねて勢ひの悽まじさに唯おど/\と氣を呑まれし、筆やの女房走り寄りて抱きおこし、背中をなで砂を拂ひ、堪忍をし、堪忍をし、何と思つても先方は大勢、此方は皆よわい者ばかり、大人でさへ手が出しかねたに叶はぬは知れて居る、夫れでも怪我のないは仕合、此上は途中の待ぶせが危ない、幸ひの巡査(おまはり)さまに家まで見て頂かば我々も安心、此通りの子細で御座ります故と筋をあら/\折からの巡査に語れば、職掌がらいざ送らんと手を取らるゝに、いゑ/\送つて下さらずとも歸ります、一人で歸りますと小さく成るに、こりや怕い事は無い、其方の家まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで頭(つむり)を撫でらるゝに彌々ちゞみて、喧嘩をしたと言ふと親父(とつ)さんに叱かられます、頭(かしら)の家は大屋さんで御座りますからとて凋(しを)れるをすかして、さらば門口まで送つて遣る、叱からるゝやうの事は爲ぬわとて連れらるゝに四隣(あたり)の人胸を撫でゝはるかに見送れば、何とかしけん横町の角にて巡査の手をば振はなして一目散に逃げぬ...   三五郎は居るか、一寸來くれ大急ぎだと、文次といふ元結よりの呼ぶに、何の用意もなくおいしよ、よし來たと身がるに敷居を飛こゆる時、此二タ股野郎覺悟をしろ、横町の面よごしめ唯は置かぬ、誰れだと思ふ長吉だ生ふざけた眞似をして後悔するなと頬骨一撃、あつと魂消て逃入る襟がみを、つかんで引出す横町の一むれ、それ三五郎をたゝき殺せ、正太を引出してやつて仕舞へ、弱虫にげるな、團子屋の頓馬も唯は置ぬと潮のやうに沸かへる騷ぎ、筆屋が軒の掛提燈は苦もなくたゝき落されて、釣りらんぷ危なし店先の喧嘩なりませぬと女房が喚きも聞かばこそ、人數は大凡十四五人、ねぢ鉢卷に大萬燈ふりたてゝ、當るがまゝの亂暴狼藉、土足に踏み込む傍若無人、目ざす敵の正太が見えねば、何處へ隱くした、何處へ逃げた、さあ言はぬか、言はぬか、言はさずに置く物かと三五郎を取こめて撃つやら蹴るやら、美登利くやしく止める人を掻きのけて、これお前がたは三ちやんに何の咎がある、正太さんと喧嘩がしたくば正太さんとしたが宜い、逃げもせねば隱くしもしない、正太さんは居ぬでは無いか、此處は私が遊び處、お前がたに指でもさゝしはせぬ、ゑゝ憎くらしい長吉め、三ちやんを何故ぶつ、あれ又引たほした、意趣があらば私をお撃ち、相手には私がなる、伯母さん止めずに下されと身もだへして罵れば、何を女郎め頬桁たゝく、姉の跡つぎの乞食め、手前の相手にはこれが相應だと多人數のうしろより長吉、泥草鞋つかんで投つければ、ねらひ違はず美登利が額際にむさき物したゝか、血相かへて立あがるを、怪我でもしてはと抱きとむる女房、ざまを見ろ、此方には龍華寺の藤本がついて居るぞ、仕かへしには何時でも來い、薄馬鹿野郎め、弱虫め、腰ぬけの活地なしめ、歸りには待伏せする、横町の闇に氣をつけろと三五郎を土間に投出せば、折から靴音たれやらが交番への注進今ぞしる、それと長吉聲をかくれば丑松文次その余の十餘人、方角をかへてばら/\と逃足はやく、拔け裏の露路にかゞむも有るベし、口惜しいくやしい口惜しい口惜しい、長吉め文次め丑松め、なぜ己れを殺さぬ、殺さぬか、己れも三五郎だ唯死ぬものか、幽異になつても取殺すぞ、覺えて居ろ長吉めと湯玉のやうな涙はら/\、はては大聲にわつと泣き出す、身内や痛からん筒袖の處々引さかれて背中も腰も砂まぶれ、止めるにも止めかねて勢ひの悽まじさに唯おど/\と氣を呑まれし、筆やの女房走り寄りて抱きおこし、背中をなで砂を拂ひ、堪忍をし、堪忍をし、何と思つても先方は大勢、此方は皆よわい者ばかり、大人でさへ手が出しかねたに叶はぬは知れて居る、夫れでも怪我のないは仕合、此上は途中の待ぶせが危ない、幸ひの巡査さまに家まで見て頂かば我々も安心、此通りの子細で御座ります故と筋をあら/\折からの巡査に語れば、職掌がらいざ送らんと手を取らるゝに、いゑ/\送つて下さらずとも歸ります、一人で歸りますと小さく成るに、こりや怕い事は無い、其方の家まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで頭を撫でらるゝに彌々ちゞみて、喧嘩をしたと言ふと親父さんに叱かられます、頭の家は大屋さんで御座りますからとて凋れるをすかして、さらば門口まで送つて遣る、叱からるゝやうの事は爲ぬわとて連れらるゝに四隣の人胸を撫でゝはるかに見送れば、何とかしけん横町の角にて巡査の手をば振はなして一目散に逃げぬの読み方
樋口一葉 「たけくらべ」

...薄馬鹿野郎(うすばかやらう)め...   薄馬鹿野郎めの読み方
樋口一葉 「たけくらべ」

...長男は薄馬鹿以上の白痴で...   長男は薄馬鹿以上の白痴での読み方
北條民雄 「白痴」

...薄馬鹿の妹が小さく暗い家に足を投げ出して...   薄馬鹿の妹が小さく暗い家に足を投げ出しての読み方
松永延造 「職工と微笑」

「薄馬鹿」の読みかた

「薄馬鹿」の書き方・書き順

いろんなフォントで「薄馬鹿」

「薄馬鹿」の英語の意味


ランダム例文:
恋愛相手   縞蛇   大洗  

チーズローリングと世界一硬いチーズ

便利!手書き漢字入力検索

この漢字は何でしょう?

👨話題の人々👩
「推し」を登録

時事ニュース漢字 📺
指定席   外国人   参院選  

スポンサーリンク

トップへ戻る