...樹間(このま)を洩れてくる折りからの晩春の薄曇りの陽を浴びて...
橘外男 「逗子物語」
...薄曇りのぼーっとした月明りで...
豊島与志雄 「浅間噴火口」
...未明に少し雨が降った薄曇りの日だった...
豊島与志雄 「子を奪う」
...雪のあとはたいてい、からりと晴れるのが常だが、その日は薄曇り、翌日も薄曇りで、次の日に漸く晴れ上ったが、その午頃、吹き溜りの雪の中に、若い女の死体が見出されたのである...
豊島与志雄 「死因の疑問」
...ある薄曇りの秋の日に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...丁度白昼の薄曇りに似ていた...
豊島与志雄 「裸木」
...ああ、夢の光、行く秋の薄曇り...
永井荷風 「監獄署の裏」
...薄曇りの空の光に日頃は黒い緑の木葉(このは)が一帯に秋の如く薄く黄ばんで了つて...
永井荷風 「花より雨に」
...――かぼそい声をもう一度、聞いてみたいと思ふのだ……正午丸ビル風景あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ月給取の午休み、ぷらりぷらりと手を振つてあとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐるひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……なんのおのれが桜かな、桜かな桜かなあゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな春日狂想1愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません...
中原中也 「在りし日の歌」
......
林芙美子 「新版 放浪記」
...薄曇りの空には微熱にうるむ瞳(ひとみ)がぼんやりと感じられた...
原民喜 「死のなかの風景」
...朝の薄曇りが昼少し下(さが)る頃より雨となッて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...薄曇りしている庭にきのうの朝売りにきたのを小糸が買った大輪の朝顔がひとつ...
正岡容 「小説 圓朝」
...相変らず薄曇りの空...
三好十郎 「好日」
...三日ばかり薄曇りが続いたあとで...
山本周五郎 「風流太平記」
...(巴里(パリー)は今日も薄曇り)湿つた金薄(はく)を撒くやうに...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...岬の果ての方は薄曇りがして...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...薄曇りした宵月の明りで...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??