...併し薄弱な善も、不善又は無善よりは遙かに優つてゐるであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...むしろ要求に應ずるの力なき薄弱なる本質を...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...その極めて薄弱な感じしか出せない...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...これに乗じ些細の口実を以て防備薄弱なりしシュレージエンに侵入した...
石原莞爾 「戦争史大観」
...いとど薄弱なる議論を益々力弱くさせて世間の軽侮を招くようになった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...薄弱なる証拠である...
大隈重信 「憲政に於ける輿論の勢力」
...これはまた吾人(ごじん)が個々の印象を把持(はじ)する記憶の能力の薄弱なためとも言われよう...
寺田寅彦 「春六題」
...薄弱な自分の肉眼の力ですら...
寺田寅彦 「病室の花」
...日本では生活に就いての科学的認識が極めて薄弱なのである...
戸坂潤 「現代科学教育論」
...範疇論的に云って薄弱な観念体系はないからである...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...薄弱な私は妻と相抱いて泣きました...
長塚節 「教師」
...犬の身に起った不幸な出来事は薄弱な太十の心を掻き乱して畢った...
長塚節 「太十と其犬」
...経験的な知識の根柢を薄弱なりとして...
中谷宇吉郎 「救われた稀本」
...極めて不規則にして薄弱なものにすぎない...
萩原朔太郎 「青猫」
...てんでんばらばらで、あちらでもこちらでもゆきづまり、万事に薄弱な、熱と感興(かんきょう)にとぼしいものにならなければならないのです...
羽仁もと子 「親子の愛の完成」
...私が年少時代に譯も分らずに敬慕してゐた新島精神も案外薄弱なものであつたのか...
正宗白鳥 「學校の今昔」
...何か薄弱な、意識せざる抗弁的にきこえたというのは、その程度をぬけている心持にとってさもありなんと思われ、いくらか情けなくもきけたでしょうし(そのわからなさ、わからないという状態が語っている弱さ低さ)、そういう点でも、随分忍耐をもっていて下すったわけです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...張力の一番薄弱な部分に戦争が起るという戦争の原理が事実なら...
横光利一 「旅愁」
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