...一度自己を保護する薄弱なる人工の搖籃を離れて...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...意志薄弱なる空想家...
石川啄木 「弓町より」
...これに乗じ些細の口実を以て防備薄弱なりしシュレージエンに侵入した...
石原莞爾 「戦争史大観」
...何でも薄弱なる所に暴力を用いて圧迫したところが...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...そうして付け焼き刃の文明に陶酔した人間はもうすっかり天然の支配に成功したとのみ思い上がって所きらわず薄弱な家を立て連ね...
寺田寅彦 「天災と国防」
...ある読者はますますあるいは始めていわゆる精密科学の基礎の案外薄弱な事を考えて...
寺田寅彦 「方則について」
...之に反して例の「専門家」は一般に極めて薄弱な哲学者であることが今日の事実だといっていい...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...證據が薄弱なために...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...薄弱な私は妻と相抱いて泣きました...
長塚節 「教師」
...それを当時に悔(くゆ)る様な薄弱な頭脳(づのう)ではなかつた...
夏目漱石 「それから」
...自分で自分の薄弱な性情を自覚しない僕には痛い打撃であった...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...極めて薄弱なる論據及び推理の上に立つてゐるであらうが...
波多野精一 「時と永遠」
...てんでんばらばらで、あちらでもこちらでもゆきづまり、万事に薄弱な、熱と感興(かんきょう)にとぼしいものにならなければならないのです...
羽仁もと子 「親子の愛の完成」
...阿曽の薄弱な体力を...
久生十蘭 「白雪姫」
...この如き薄弱なる性格をもつものは検察官として絶対に拒否せられるべきであると自覚するに至ったからであります...
久生十蘭 「魔都」
...理由の薄弱な存在と映ずるに相違ない...
平林初之輔 「探偵小説壇の諸傾向」
...遂に社会公徳の根本を薄弱ならしむるに至るべし...
福沢諭吉 「日本男子論」
...普ねくその醜顔を衆人に曝しつくしてのち無惨の終りを告げたにも似てゐるから惜別の念の必要以上に薄弱なる点は...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
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