...自覺の内容が渾沌と薄弱とを極めてゐるならば――極めて薄弱なる内容にも極めて強烈なる自信が附隨し得ることを忘れてはならぬ――何の彼等を珍重する迄もなく...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...唯その善が薄弱なことである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...併し薄弱な善も、不善又は無善よりは遙かに優つてゐるであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...ある読者はますますあるいは始めていわゆる精密科学の基礎の案外薄弱な事を考えて...
寺田寅彦 「方則について」
...日本では生活に就いての科学的認識が極めて薄弱なのである...
戸坂潤 「現代科学教育論」
...要するに妥協的な、薄弱な、謂はば実質なしに動いてゐる社会とでも云ふべきものだ...
中原中也 「非文学的文士」
...自分の所志にもう背(そむ)かねばならぬほどに自分は薄弱なものであったと云う事をも証拠立てている...
夏目漱石 「坑夫」
...このタクトの薄弱な結果は...
萩原朔太郎 「青猫」
...阿曽の薄弱な体力を...
久生十蘭 「白雪姫」
...あたかもかのライプニッツ5の率直にして明快な理論がゴージアス6の狂愚にして薄弱な修辞学を凌駕(りょが)するごとく...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「群集の人」
...普ねくその醜顔を衆人に曝しつくしてのち無惨の終りを告げたにも似てゐるから惜別の念の必要以上に薄弱なる点は...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...何にせよ一つの団体がある以上は何か事業でも起さねば甚(はなは)だ薄弱な会合になつてしまふやうな傾きはあるが...
正岡子規 「病牀六尺」
...私が年少時代に譯も分らずに敬慕してゐた新島精神も案外薄弱なものであつたのか...
正宗白鳥 「學校の今昔」
...一つの病的な薄弱な状態を示す行動ではなかったか...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...いわば連帯性の薄弱な愛情は永年にわたって持ちこしてゆけない...
宮本百合子 「新しい一夫一婦」
...何か薄弱な、意識せざる抗弁的にきこえたというのは、その程度をぬけている心持にとってさもありなんと思われ、いくらか情けなくもきけたでしょうし(そのわからなさ、わからないという状態が語っている弱さ低さ)、そういう点でも、随分忍耐をもっていて下すったわけです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...異性的魅惑力の最も薄弱なる母親によって与えられたるものなりしため...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...薄弱なるさまよいの子には...
吉川英治 「新書太閤記」
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