...深山の夜気が肌寒く薄い着物に透(とほ)り出した頃...
芥川龍之介 「杜子春」
...薄い本は相当あるが...
石川欣一 「可愛い山」
...薄い建築と、家々の開放的な性質とは、すべての物音が戸外へ聞える容易さによって了解出来る...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...で、六が砂まぶれの脚絆をすじりもじって、別荘の門を通ったのと、一足違いに、彼は庭下駄で、小石を綺麗に敷詰めた、間々(あいあい)に、濃いと薄いと、すぐって緋色なのが、やや曇って咲く、松葉牡丹(まつばぼたん)の花を拾って、その別荘の表の木戸を街道へぶらりと出た...
泉鏡花 「浮舟」
...今は夕栄(ゆうば)えの光りを受けてほとんど淡紅色と云い得るまでに淡く薄い色になってゆく...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...まるで影の薄い抽象的な「誰でも」の知識になってしまう...
寺田寅彦 「ある日の経験」
...この現在の場合における助演者はこのように主演者と対立して二重奏を演ずるためにはあまりに影が薄いようである...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...薄い下唇(したくちびる)を噛(か)んで...
徳田秋声 「爛」
...彼の世界にはその奥に薄い膜がある...
豊島与志雄 「蠱惑」
...非常に影の薄いものであることは事実である...
中谷宇吉郎 「簪を挿した蛇」
...実際には顕微鏡用の薄い硝子の円板を使ったのである...
中谷宇吉郎 「「光線の圧力」の話」
...その間に小さい炭素分子と膠分子とが薄い膜をなして詰っているようなものと見て差支えない...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...帯は薄いクリーム色の白筋博多...
林芙美子 「晩菊」
...自分たちの身体をほとんど包んでくれない薄い毛布をかけてうずくまっているのを見たことでしょう...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...これは一つには学生諸氏の英語の読書力の薄いのに依るのであらうけれど...
平田禿木 「趣味としての読書」
...薄い味噌汁を味わうような...
古川緑波 「ああ東京は食い倒れ」
...百合子は薄いスカートをひら/\と翻しながら...
牧野信一 「明るく・暗く」
...其(その)晩には薄い初雪が降つた程朝から寒い日であつた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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