...さうして内容と實力とは尨大なる自意識の薄暗い下蔭に日の目を見ぬ草のやうに影の薄い朝夕を送つて行く...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...薄い部分はこれが少ないわけだからね...
江戸川乱歩 「鏡地獄」
...殊に雪の上を辷つて來る明るい光りで高からぬ鼻薄い眉やや大きな口光澤の無い皮膚等をあらはに見て最早美しいとは思はなかつた...
高濱虚子 「俳諧師」
...この現在の場合における助演者はこのように主演者と対立して二重奏を演ずるためにはあまりに影が薄いようである...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...薄い布団(ふとん)にくるまって...
豊島与志雄 「金の目銀の目」
...薄い靄の立ち罩めた夜であった...
豊島与志雄 「囚われ」
...その皺の両側に、薄い眉毛の下に、切れの長い眼がついていた...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...たとえ自分についている薄い氷のようなものが...
中井正一 「美学入門」
...彼はまた四角な薄い小包を私に送った...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...その代り私は薄い板で造った足の畳(たた)み込める華奢(きゃしゃ)な食卓を奥さんに寄附(きふ)しました...
夏目漱石 「こころ」
...薄い銅板を一枚掘り出しました...
野村胡堂 「水中の宮殿」
...決して嘘や僞(いつはり)は申しません――」薄い膝においた手が顫へて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紙風船は影の薄い東洋人にばかり似合ふのかと思ふと...
林芙美子 「シベリヤの三等列車」
...葵の部屋の薄いカアテンを通して...
久生十蘭 「金狼」
...数メートル先に見えた男は薄い唇のとがり顔で...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...顔面には薄い顔面筋の間から頭蓋骨が白い歯齦迄むき出して笑い...
森於菟 「屍体異変」
...薄い褥(しとね)を臥(ふ)しかつぐ五更(こう)に...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...原画は薄い雁皮紙(がんぴし)にかぎられていて...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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