...従つて私の推称が其影の薄いものになる事は...
芥川龍之介 「龍村平蔵氏の芸術」
...羽織は薄い小豆色の縮緬(ちりめん)に……ちょいと分りかねたが……五ツ紋...
泉鏡花 「婦系図」
...なるほど薄い傷痕が一つついていた...
海野十三 「蠅男」
...薄いところから段々乾燥して色が変り...
大阪圭吉 「坑鬼」
...現れては消えるといふやうな影の薄い朧気なものであつた...
高浜虚子 「椿子物語」
...煙突からは白い薄い煙(けぶり)が徒(いたづ)らに立つて居た...
田山花袋 「朝」
...部屋の中の、薄い煙は、戸惑いしたように、天井を、襖の上をうろついているだけで、画像の姿も、朧げにしか見えなくなった...
直木三十五 「南国太平記」
...薄い西洋紙で線香花火を作ってみたが...
中谷宇吉郎 「線香花火」
...「これが春水の替え蓋」と老人は綸子(りんず)で張った薄い蓋を見せる...
夏目漱石 「草枕」
...閑静な薄い羽織を着て...
夏目漱石 「それから」
...薄い月が出ていた...
夏目漱石 「それから」
...赤い薄い本が主人の口髯(くちひげ)の先につかえるくらいな地位に半分開かれて転がっている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...京菜の漬物に薄い味噌汁...
林芙美子 「新版 放浪記」
...ゾロフ夫人の乳白色の肩はまだ薄いショールで覆われている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...薄い煙がゴンクール氏を包んだ...
夢野久作 「暗黒公使」
...街の子供と同じよに避暑地の浜の砂に来て群れつつ薄い袖(そで)を振る...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...女は薄い髪の毛を櫛巻(くしまき)にしていた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...ことに相隣った樹の根と入りまじって薄い地の層の間に複雑にからみ合っているありさまは...
和辻哲郎 「樹の根」
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