...薄い痘痕(あばた)のある物売りはいつもただつまらなそうに...
芥川龍之介 「十円札」
...その又達磨船は船の底から薄い光を洩らしてゐた...
芥川龍之介 「歯車」
...薄い緑色の葉の海藻も食うが...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...大体に於て薄い色をつけた地紙に...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...却(かえ)って柳の薄い朧に...
泉鏡花 「遺稿」
...鼓を打つものは扇型の薄い木片で拍子を取りつつ鼓を打ち...
竹内勝太郎 「淡路人形座訪問」
...――薄い霧のようなものがふんわりとその顔を押し包んだ……と思うと...
モリス・ルヴェル Level, Maurice 田中早苗訳 「誰?」
...或る者はそのうえから黒また白の薄いべえる(マンテリア)をかけ...
谷譲次 「踊る地平線」
...薄い合着を召してお出かけだったが...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...薄い布団にくるまって寝るのまでが...
豊島与志雄 「反抗」
...余は此の朝の空氣に包まれて秋の冷かさが薄い單衣を透してしみ/″\と身にしみこむやうに感じた...
長塚節 「旅の日記」
...唇(くちびる)の薄い...
夏目漱石 「三四郎」
...無論薄い葉の事だから落ちても音はしない...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...薄いきもの一枚で...
長谷川時雨 「テンコツさん一家」
...不思議なことに、このくひちがひ袋小路は晝間は平凡な、薄い人通りで、夜更けになると、ありのままの、好い人間たちが遠慮なく通つてゆく...
長谷川時雨 「夏の夜」
...薄い半手套をはめた両手は...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...あの光の薄い、欠けた、赤い月が升(のぼ)って来て、怪しげな道の照しようをするので、一足毎に木や石に躓きそうでなりません...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...薄い汗がにじみ見えて来たかと思う頃...
吉川英治 「宮本武蔵」
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