...もうすこしで大人に成ると云ふ年頃やまだうら若い蕾の年頃のがまざつて賑かな遊びに我を忘れてゐた...
アーヴィング 高垣松雄訳 「クリスマス・イーヴ」
...白い蓮華の蕾の樣な筈の...
石川啄木 「漂泊」
...蕾の中で花弁が一つにかたまつて了つて...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...その人にとつて「開かざる蕾の花」であるか...
大手拓次 「「香水の表情」に就いて」
...蕾の唇(くちびる)惜氣(をしげ)もなく喰ひしばりて...
高山樗牛 「瀧口入道」
...或は咲きもせぬ蕾のまゝに散り果てぬ...
高山樗牛 「瀧口入道」
...一洵無水和蕾の三君は居残つて...
種田山頭火 「松山日記」
...八つ手もその先きに蕾の丸い総をつけた花柄を伸した...
外村繁 「日を愛しむ」
...もう蕾の開きかけた桜の一枝が投げ込んであった...
豊島与志雄 「春盲」
...くれなゐの花の蕾の...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...白馬では未だ蕾の固かった当薬が...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...私たちの手から蕾のままに失われていった可憐(かれん)の宝玉も...
羽仁もと子 「最も楽しい事業」
...ふと僕は花の蕾の上に揺らぐ透明なのが刻々に何かもの狂おしく堪えがたくなってゆくような気分に襲われた...
原民喜 「夢と人生」
...孝吉のぼんのくぼのところに梅の蕾のような赤紫色の膨らみができ...
久生十蘭 「ノア」
...紅色の蕾の球とが...
牧野信一 「明るく・暗く」
...蕾のころか零れ散るころかがわたくしの心に叶うてゐる...
室生犀星 「冬の庭」
...珊(さん)たる蕾の姿は霰や餅米のやうに小粒で美しい...
室生犀星 「冬の庭」
...それは潮どきにさしかかり一人一人が裡に持ち含んでいた蕾の一時に開き初めた今の季節に似ている眺めだった...
横光利一 「旅愁」
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