...蔦葛(つたかづら)に蔽(おほ)はれた木々の梢から...
芥川龍之介 「沼」
...一面に野菜に蔽(おお)われている...
芥川龍之介 「不思議な島」
...烟霧遠く東南に棚引て半天を蔽ひ暗憺として灰を雨下し...
石川成章 「櫻島噴火の概況」
...錦の蔽を展(ひら)く...
泉鏡花 「海神別荘」
...この種族が穹窿形を好むことは実に非常なものでありまして、前記墓の蔽石は、これを穹窿形に積み重ねたものか、または穹窿形に石を刳(く)ったものが、ほとんど比々皆然(しか)りと言っても差し支えないくらいなのであります...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...お膳の上へ背を円々と蔽(おお)いかぶさるようにしていた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...それには不合理の語を以て蔽(おお)われている合理的の事柄がなくてはならぬ...
津田左右吉 「神代史の研究法」
...血がある」といって新聞紙で蔽った血痕を指して云った...
寺田寅彦 「病中記」
...パトロークロス‥‥音調のために種々に變化す(Brasse's A Greek Gradus)しか陳ずれば英雄を悲哀の黒き雲は蔽ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...恐らくより文学的に優れた表現を用いようと努力したことから生じるものだろうが(論旨の弱小・貧困を蔽うためであるかどうかは論外として)...
戸坂潤 「思想としての文学」
...其の妍醜瑕瑜大概露見して蔽はるゝ所なきも...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...全島を蔽(おお)うている...
中島敦 「光と風と夢」
...主水の前へ出ると袖(そで)で顔を蔽(おお)って恥らうというほどの美少年だったので...
久生十蘭 「鈴木主水」
...前と後ろから蔽いかくしているのである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この霜に蔽はれた世界の靜けさと冷(ひや)やかさが好きなのです...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...我々のよじ登ったこの天然の高台には茨(いばら)が一面を蔽(おお)っていて...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「黄金虫」
...まだお日様を蔽(おお)いかくすまでにはなっていませんでした...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...蔽いきれぬ彼の悩みも...
横光利一 「旅愁」
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