...あの低い松の枝の地紙形(じがみなり)に翳蔽(さしおお)える葉の裏に...
泉鏡花 「瓜の涙」
...その姿見の蔽(おおい)を取れ...
泉鏡花 「海神別荘」
...そして今や幕面は完全にこの褐色瓦斯に蔽われてしまったが...
海野十三 「火星探険」
...葉櫻に蔽はれたり...
大町桂月 「飛鳥山遠足」
...獵夫に逢へる獅子王か? 獅子は其子を蔽ひ守(も)り...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...警衛の者要蔽する時は打払うべきとの事...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...わざと蔽い隠すような風に...
豊島与志雄 「紫の壜」
...大きな銅貨の面の肖像は素直に緑青(ろくしょう)で蔽われ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...しかも全山密林で蔽はれてるので...
野上豐一郎 「キフホイザー」
...その蓋から一方へ向けてそれで蔽(おお)い切れない部分が二三尺はみ出しているようであった...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...その上を厚い片麻岩の地殻で蔽(おお)われてしまった...
久生十蘭 「地底獣国」
...これらの石の配置の方法のなかに――石を蔽(おお)うている多くの菌や...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...「は、は、燻(た)きこめた香の匂いは、ゆかしいな」持っていた、延べのきせる――それをのべて、雁首(がんくび)で、蔽(おお)いを、少しかかげるようにしたと、思うと、ギョッとしたように、目をみはった、三斎隠居――「おッ! これは!」グッと、闇太郎を睨(にら)んで、「闇、これは何じゃ! うなだれて、髪のみ見えて、面体(めんてい)はわからぬが、たしかに、死骸と見えるが――か、かようなものを何ゆえなれば! こりゃ、そのままには捨て置かぬぞ!」「御隠居さま」と、闇太郎のこえは沈んだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...幼者形不蔽(えうしやはかたちをおおはず)」と吟じていたが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...空一面を蔽つた薄い雲が...
森鴎外 「高瀬舟」
...立木や何かに蔽(おお)われているために幾度も幾度も近まわりをウロ付きながら...
夢野久作 「木魂」
...吉良家の屋根を蔽(おお)っている巨きな落葉樹の梢から...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...埃まみれの肩を蔽(おお)い...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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